渚ひろみ

  • 月影の宿 – 渚ひろみ

    いいのよどんなに 遅れて来ても墨絵に昏れゆく 山の宿もしやあなたの 身の上に何かあったか 気にかかる悪い方へと 傾いて胸が裂けそうな 月影の宿 いいのよ世間の そしりを受けて誰にも知られず 袖しぐれ追ってあなたを 困らせる万に一つも ありません窓をかがみに 化粧して背伸びして待つ 月影の宿 いいのよ落葉の 優しさなのね静寂(しじま)の中にも 音がある踏んで悔いない 茨道何処にこんなに 耐えられる恋…

  • 硝子のタンゴ – 渚ひろみ

    あなたの中に 二人のあなたがいる愛して止まないあなたと 影のあるあなたそして上手に その二人ともつき合えるほど器用じゃ 器用じゃない私踏めば割れる硝子胸の中の硝子答え出せぬあなた少しずるい私硝子の硝子の 硝子のタンゴ 私の中に 二人の私がいる別れに傾く私と そうでない私そしてその手に 抱かれたときにもう一人の私が 私がまた消える琥珀(こはく)色のお酒黙りあって二人答え出せぬあなた少しずるい私硝子の…

  • 雪雀 – 渚ひろみ

    赤い茶碗に 飯(まま)よそい白い小皿に 魚(とと)少し外は吹雪(ふぶ)いて あん人は あゝ あん人は来ない雪に松葉の足跡(あしあと)はあたしみたいな 雪雀撒き餌(まきえ)もらえば チュンチュン鳴いてどこの軒場で どこの軒場で添い寝やら 離れ瞽女(ごぜ)なら 銭(ぜに)やろか波の音なら 銭やらぬ甘い顔して あん人は あゝ あん人は酷(むご)いどうせだまされ 雀ならお酒飲もうか 雪雀飲んで飲まれりゃ …

  • 夜の白鳥 – 渚ひろみ

    夜の白鳥(スワン)と 呼ばれています白い羽飾り 髪に挿してますネオンの間に間に 漂いながら一夜の恋を 売ってますあぁ 今度 生まれたなら あぁ 本当の鳥になるの胸に抱いてる 白鳥(スワン)の願いいつか夜空に 落として消えた夢を探しに 旅に出る 夜の白鳥(スワン)は 涙のジュエルドレスの代わりに まとう星明りたったひとつの 愛が欲しくて腕から腕へ 渡り鳥あぁ いつも 空を見てる あぁ 誰かに抱かれな…

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