清水たま希

花咲小路 – 清水たま希

お店の提灯 ポツポツと
並んで灯ともす その様は
ハモニカみたいな 口をして
浮世の嘆きの 笛を吹く

飲みましょう 忘れましょう
とくとく徳利 人の徳
飲みましょう 忘れましょう
死ぬこと思えば かすり傷

私も女で ありながら
夜ふけに酒飲む 寂しがり
馴染みのお客の 憂い顔
手酌はないわと 世話をやく

飲みましょう 忘れましょう
とくとく徳利 人の徳
飲みましょう 忘れましょう
死ぬこと思えば かすり傷

誰にもこころの 揺れはある
優しい言葉に ついほろり
甘えてみたくも なるけれど
女も義のある 道を踏む

飲みましょう 忘れましょう
とくとく徳利 人の徳
飲みましょう 忘れましょう
死ぬこと思えば かすり傷

誰にもこころの 揺れはある
優しい言葉に ついほろり
甘えてみたくも なるけれど
女も義のある 道を踏む

飲みましょう 忘れましょう
とくとく徳利 人の徳
飲みましょう 忘れましょう
死ぬこと思えば かすり傷

この世をどんなに 嘆いても
しょせんは雀の 千の声
それでもそれでも いいじゃない
いつかは鶴の 一声に

飲みましょう 忘れましょう
とくとく徳利 人の徳
飲みましょう 忘れましょう
死ぬこと思えば かすり傷

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