清水たま希

儚な酒 – 清水たま希

何がしあわせ 不しあわせ
うんとあるのね 人の世は
グラスゆらせば 立つ波も
しょせん硝子の 中のこと
思い出させて 夜がゆく
みんなうたかた 儚な酒

一つ二つは 誰もある
拭いきれない 傷のあと
浮いて沈んで 漂って
それも男と また女
せめて上手な 引き際は
褒めてあげたい 儚な酒

誰を濡らすか 通り雨
人はそれでも 生きている
夜に泣こうと 笑おうと
明日につながる さだめ川
恋の涙も 思い出も
みんなうたかた 儚な酒

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こぼれ灯 – 清水たま希

ついて来るかと あなたが微笑う見つめ返した 瞳がぬれるまわり道にも 花はあるそんな生き方 したくってこぼれ灯 こぼれ灯…拾う小さな 春の音いつも気後れ 戸惑いば

花咲小路 – 清水たま希

お店の提灯 ポツポツと並んで灯ともす その様はハモニカみたいな 口をして浮世の嘆きの 笛を吹く飲みましょう 忘れましょうとくとく徳利 人の徳飲みましょう 忘れま

港の走り傘 – 清水たま希

いつも港は 出船の匂い昔ここにも いたと云う海に縁ある 人だものそこはもう賭け 最後の賭けとあなた名前の 灯をともし帰り船待つ 浜酒場手もち無沙汰に 海鳴り聴い

夕月の花 – 清水たま希

しあわせに なる為の今はまだ まわり道あなたの励まし あればこそ幾坂 この坂 越えた坂生きるに下手な 私でもあなたに寄り添い 生きたいのついてゆきます 夕月の花

花供養 – 清水たま希

「分かりますとも ひと目みて娘さんだと 貴女のことは」この日は母の 花供養そっと微笑む そのひとの肩のむこうに 揺れる花来てくれましたよ お母さん季節はずれに 

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