浜博也

  • 知りたがり – 浜博也

    手のひら すり抜ける 夕日がまぶしくて幸せが 陽炎(かげろう)に 見え隠れするくちびる 重ねても あなたが見えなくてわたしがこんなに 知りたがりなのは泣きたいくらいに…泣きたいくらいに…あなた あなた あなたを愛しているから うかない 顔してる ネクタイ緩めたら小さく うなずいた ため息まじり派手だわ その柄は あなたに似合わないどなたの見立てか 知りたがりなのは誰より本気で…誰より本気で…あなた…

  • 一番星より – 浜博也

    痩せてやつれた か細い君の肩僕は花びらになり ふわり しがみついたほのかな香りは 昔のままに楽しい暮らしを 思い出してる君が淋しく ならないように日暮れに かがやく一番星 君を残して ひとりの旅支度「ついて来るんじゃない」と 橋を揺らしたのは幸せつかめと 思うあまりさ…ちょっぴりやきもち 焼きそうだけど次の世もまた 逢えますように静寂(しじま)に 聞いてる百八つ(ひゃくやっつ) 次のお盆には かな…

  • 妻という名の… – 浜博也

    愛し合っても 出口が見えなくて火傷の熱さが 身に染みる冷めた世間は 背中を向けるけどふたりの道行き 悔みはしない妻という名の…妻という名の…口に出さない 明日(あす)の夢 にわか雨なら 乾けば過去になるあしたを欲しがる なみだ雨人に見せない こころの傷だけど抱きしめられたら たちまち治る愛を味方に…愛を味方に…なんの辛かろう 苦しかろう お雛さまでも 本当は向き合って抱きしめ合いたい 離れないしぐ…

  • 正夢 – 浜博也

    あれから片方の 夫婦茶碗になりました湯呑みがわたしを 上目使いで見ています「もうすぐ帰る」と 留守電に残る声聞きたくなるの 夕暮れ時にはそよ吹く気配に お帰りなさい今夜は 抱きしめて正夢で… お薬なんかより わたしの嘘が効いたのね泪を浮かべて 無理に笑ったあなたですひと足お先に 向こうで待ってると悪い冗談よ いい加減にして本当はすべてを 分かってたのね気付けば ついて来るひとつ星 元気になれなくて…

  • 一輪挿し – 浜博也

    水を替えてる 一輪挿しのそばにあなたが いるようで逢いたい気持ちの 悪戯かしらもしやと手を止め 耳を澄ませば声なき写真が 笑うだけ 窓は額縁 景色も凍る遠くまたたく ひとつ星そこからわたしが 見えるでしょうか風邪引かないでと ささやきかけりゃ遺品(かたみ)の時計が カチカチと 花を散らした 一輪挿しに揺れる泣き顔 水鏡「いつまでメソメソするんじゃない」ときっとあなたに 叱られるわね年上ですもの こ…

  • 呼子鳥 – 浜博也

    大きくなったら 分かってくれるでしょう独りぼっちで家を出た ママの気持ちがもらった似顔絵 胸に抱き今すぐ飛んで 行きたいの泪よどうして ツバサを濡らすむなしく羽ばたく 呼子鳥 いつまで消せない 待ち受け写真家族総出のお祭りを 夢見ていたの紅花かれんな 花笠に頬紅さして あげたいな見つからないように 陰からのぞく震えるからだの 呼子鳥 こどもを捜して 泣く呼子鳥いいえ本当はホトトギス 春呼ぶ鳥よはな…

  • 今夜はパートナー – 浜博也

    星の流れる夜に めぐり逢ったのさカウンター越しの君は 輝く Venus遠回りしたけれど 偶然でもない目くばせで分かりあえる 大人の初恋 飲んで歌って踊って フリーズしそうだ触れ合う肌のときめき… 今夜はパートナー駆け抜けた人生が 再起動するよ燃(も)え尽(つ)きてしまいそう… 今夜はパートナー 表通りをぶらり 入ったところシルエットゆらり揺れて 震えて重なる甘い恋の予感さ シネマみたいだねルージュ…

  • 夕凪橋~ゆうなぎばし~ – 浜博也

    毎年一年が 早くなるからはなれないように ついて来た色づく紅葉も 深山桜(みやまざくら)もしみじみ味わう 夕凪橋で… じっと見ている…じっと見ている 白い月 錦(にしき)を飾る夢 遠く消えはてそばに私が ただひとり枯れ木に宿った 小鳥みたいに頼まれないのに 居心地良くて 背中合わせの…背中合わせの あたたかさ 「一枚 羽織らなきゃ冷えてくるよ」と人もうらやむ 仲の良さ人生朝露(あさつゆ) しのぐ雨…

  • 北の港で待つ女 – 浜博也

    おまえに似合う 男になって必ずいつの日か 迎えに戻るユラユラと漁火が きらめく夜に涙こらえて 見送(おく)ってくれた北の港で ひとり待つ女 ふたりで暮らす 幸せあれば何(なん)にもいらないと 微笑(わら)っていたね面影を抱きしめて グラスの酒に酔えばなおさら 逢いたさつのる北の港で 今も待つ女 離れていても 心はひとつ会えない年月(としつき)は 無駄にはしないヒュルヒュルと海鳴りが おまえの声で泣…

  • おまえと俺と – 浜博也

    おまえの瞳に あふれる涙細い肩先 そっと抱き寄せる探していたんだ 迎えに来たよやっと逢えたね 北の町離さない 離さない 約束するよ愛をふたたび おまえと俺と 優しいおまえに 甘えたままでいつもわがまま 言って困らせた小さな安らぎ 二人の暮らし捨ててしまった あの時にばかだよね ばかだよね 許して欲しい愛をふたたび おまえと俺と 夜霧が二人を 優しく包む髪の匂いが 甘くまた揺れる泣かせたぶんだけ 幸…

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