浅野祥

忠治が泣いている – 浅野祥

男は生きて いるうちに
三度背中で 泣くという
そこからきたのか 三度笠
泪かくすにゃ 丁度いい
赤城しぐれが 降る中を
何処へ流れる
強い忠治が 泣いている

ぺんぺん草は 三味線の
なれの果てだと 苦笑い
眉月恋しや 里灯り
義理と人情の 振り分けを
抱いて侘しい 草まくら
何を夢見る
強い忠治が 泣いている

あしたがあると 思うから
今日を粗末に するんだよ
てんてん流転の 旅がらす
強い見方の だんびらも
腕が錆びたら ただの棒
かっこ悪いぜ
強い忠治が 泣いている

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