浅葱

畏き海へ帰りゃんせ – 浅葱

今宵の海は赤かろう
饑(ひだる)し我が子が父(てて)喰らふ
畏き海へ帰りゃんせ
畏き海へ帰りゃんせ

沖へと小舟を漕ぐ 水面にし垂るる糸

逸らしつる魚(いを) 海境(うなさか)の森と御殿を領(し)ろしめす
岩場で添ひ居る夫婦(めおと)の影は夕凪を誘ひけり

我が身を削ぎて命を与へ ながながし日を明かし暮らすと誓ひつる

やがて いつくしき女は孕み給へり

暇(いとま)申して故郷へ しばしの別れを難(かた)みす
然りけれど夫(せ)な愚かなり 許さざらむは異心(ことごころ)

かりそめの愛 許されぬ罪 生しき怪夢 償(つぐな)ひの刻(とき)ぞ来る
情け失せたり 徒(あだ)なる契り 血肉を喰らふ我主(わぬし)こそが化生ぞ

今宵の海は赤かろう
饑し我が子が父喰らふ
畏き海へ帰りゃんせ
畏き海へ帰りゃんせ

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雲の通ひ路 – 浅葱

上がりたる世 降らぬ天水(あまつみづ)人はおかみに乞ひたるに淡海より現れ給ひて 巌(いはお)破る瑞山の裾に主たる大蛇(おろち)の同胞(はらから) 住まひけり朝影

花雲の乱 – 浅葱

覚え浮かぶは初草の程 花雲を眺む女童(めのわらは)はいつしか真乙女(まをとめ)と生(お)ひ成りにけり思ひ兼ぬ さやぐ糸桜の下 契り交はす拙(つたな)くて やはか

鬼眼羅 – 浅葱

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冬椿~白妙の化人~ – 浅葱

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隠桜 – 浅葱

此処や何処(いどこ) 我は誰(た)そ 寒しや雨もよに佇み歩(あり)く 為(せ)む方無し何も思ひ出でず ただ咲き出たる花 懐かし然れど心に背き 血はこの身に染み着

白面金毛九尾の狐火玉 – 浅葱

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螢火 – 浅葱

吹き澄ましたる幽玄の横笛は夜さりに鳴り響(とよ)む稚(いとけな)き様 鋭(すすど)し牛若は太刀を構へたり弁慶よ 千の太刀奪(ば)ひ取ること叶わんや巡り会ひける縁

物の怪草子 – 浅葱

誰(た)そ彼時(かれどき)より蠢(をごめ)き初む妖(あやかし)百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)に逢ひぬれば命堪へず おどろおどろしや日に異(け)に月影増せば我が眼(

妖刀玉兎 – 浅葱

月の御殿(みあらか)に蔵(きす)める宝は二つなき妖刀玉兎なり我が心焼く青し星 如何ならむいみじと思へばこそ玉兎を持ちて一事(ひとこと)も見洩らさじと護(まぼ)り

月界の御子 – 浅葱

我 月界の御子なり望月の夜 飛車に乗りて参らむ御簾(みす)より覗くは聞き愛づる不死の山徒(いたずら)に流るる時 月の都を出で立ち 巡り逢ふ秋闌(た)けて燃ゆる心

大豺嶽~月夜に吠ゆ~ – 浅葱

秋方(あきつがた) 心清し山人(やまうど)は獣拾ひて養ひけりベうベう手負ひの豺は萱草山(かやぐさやま)にて行き離る夜いたう更けてなむ皆人静まりて後(のち)に鶏(

アサギマダラ – 浅葱

木染月(こぞめつき)の頃 母も知らぬ身となりけり 生まれ立(だ)ち鬼女蘭(きじょらん)食らひて小さき童(わらは)は夢路を辿る冬ながら春を思ひ遣(や)る 御祖(み

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