沖ちづる

  • baby i love you – 沖ちづる

    またいつも自分のこと傷つけてしまうような嘘をついて笑いかけてさみしくなって動けない 生ぬるいままの情熱が君の体温を奪うだろう ああ 一人じゃ眠れない夜もああ 自分が好きになれない朝もああ ずるくて優しい君でいい baby i love youそんな歌を歌うから 書きかけの返事だけが増えていくあなたにはいつまでもこんな風に甘えてはいられない わたしよりあなたの優しさが似合う人がきっといる ああ わた…

  • 夏の嵐 – 沖ちづる

    テレビニュースじゃ台風上陸の荒れた天気が映されているいつまで続く夏の嵐は支度をしよう そろそろ家を出る 学生の頃はこんな天気に休校と騒いでわくわくしていたあの時みたいな胸の高鳴りは久しくもうなかった 君に会うまでは 夏の嵐は君だけに会いに行こう お店はきっとどこもがら空き行きたがってたあそこへ行こうずぶ濡れになれば服が乾くまで時間潰そう お茶でも飲もう 夏の嵐は君だけがいればいいのさ夏の嵐は君だけ…

  • blue light – 沖ちづる

    最後の夜がきたひっそりとやってきたんだ知らん顔していたがどうやら すぐそこに 窓から見た月はこうこうと輝いてすきま風がうたってる雨音は消えてゆく blue light わたしを照らせよこの日々が消えてなくなる前に あの山でみた星はだれよりも素直でこの胸に落ちてきたんだ光は見えぬまま 思い出になってゆくならきれいだなんて片付けないでよわたしはあなただよ 今 あなたに届けよわたしずっと歌うから ずっと…

  • 街の灯かり – 沖ちづる

    冬の終わりを雪が教えてくれた夏の終わりを雨が教えてくれた街の灯かりが消えて家に帰り人気(ひとけ)の無い商店街 一人歩いていた この生活がずっと続いてゆくこの道はいつか見えなくなるこの毎日をずっと過ごしてゆくこの街並を眺め死んでゆくまで いつか終わるから辛くはないよいつか終わるから嘆くこともないよいつか失うから捨てることもないいつか失うから辞めることもない 春の終わりを風が教えてくれた秋の終わりを色…

  • クラスメイト – 沖ちづる

    君が死んだのはもう随分前の冬僕の体もずっと小さかった冬僕と君はそこまで仲良しってわけでもなくて目が合えば話すくらいのクラスメイト 君が死んだ日を僕は忘れないよホームルーム、先生が無口だから怒ってんのかと僕らはビビっていた君のことは考えてなかった 何してる 調子はどうだいああもう死んでんだな 笑って過ごしてる さっき病院から電話がありましたさっき彼女が息を引き取りました僕と君はただのクラスメイト手紙…

  • うつろいゆく者たちへ – 沖ちづる

    桜もいつの間に散っていて見上げる前に散っていて忙しなく動く日々へ言い訳私もこのまま散ってゆくのか 「あなたは真面目に生きてきたのね」占いのおばさんは自信ありげに一万円で買った一時間馬鹿みたいだと自分を責めた うつろいゆく景色に捧ぐもう少しだけゆっくりうつろいゆく君に捧ぐもう少しだけ、私を 外で騒いでいる子供の声を聞きながら夏はすぐそこに友達の久しぶりの連絡さえも二日も止めたまま 情けないな “あん…

  • メッセージ – 沖ちづる

    この大きい世界越えてこの小さい時間の中に君の耳に届くように僕の声をここに記そう 最初の頃を忘れたかい君と僕が出会った頃のことをもういっかそんな話馬鹿げてるってそう言うだろう 僕は随分変わったようだよ根っこはきっと変わってないけれど良くなったとも言えば悪くなったとも言える君はどうだい 最近のこと 暫くはもう会ってないけれど君とは何も言わなくたっていいそれが僕らの在り方だったそれが僕らの距離だった た…

  • 僕は今 – 沖ちづる

    僕は今いつの間にか好きな事をして生きている憧れた歌を歌う生活言えない気持ちを言葉にして 僕の友達は悩ましげに言う何になりたいか分からない俺は普通だから変わったとこもないから好きなものだって特別にはないんだ だから君が羨ましいと夢を探す僕の友は言う 僕の父さんは昔歌手に憧れて自分の歌をたくさん作ったらしい母と出会って僕が生まれてきて生きるため今も働き続けてる だからお前が誇りだよと夢を託す僕の父は言…

  • 向こう側 – 沖ちづる

    東京にはもうすぐ雪が今年初めての雪が降るらしいそれでも今日は冷たい雨が降っていて古びた窓に雫が跳ねている 今日は懐かしい友人の集まりでみんながマフラーを一斉に外してゆく紅茶を三つ、あとコーヒーが一つ顔のほころんだみんなが話し出す 駅から離れた赤い扉の喫茶店冷たい雨が降る窓の向こう側 前の彼から離れられないと嘆くあの子の瞼はきらきらと光っている心を病んだ知り合いの話をしてるあの子の唇は艶やかなオレン…

  • 誰も知らない – 沖ちづる

    孤独な空が雪を落としてる僕は濡れた肩を気にしながら歩いている もう聴かなくなったレコードをかけて昔の手紙は捨てて行こうここで出会った沢山の人もあの景色も置いて行こう 住み着いた猫の夕飯の時間も隣の部屋の話し声もいつか僕は忘れるだろう全ての日々を忘れるだろう すれ違う人が愛おしく見えてくる都合のいい僕のことだから今はここでさようなら 誰もいない 誰も知らないこの街の歌が流れている誰もいない 誰も知ら…

Back to top button