永井龍雲

  • 石割りの花 – 永井龍雲

    誰が名付けた 石割りの花アスファルトの隙間に 顔を出す薄紅色の 日々草健気に咲いて 風に耐えてる街角で ふと足を止めて見れば涙が 込み上げるまるで私の生き方と 愛しく散り花 手で拾う石割りの花 誰が奏でる ゴンドラの唄ハーモニカの音色で 流れ来るいのち短し 恋せよと低く歌った 夕暮れの道街角で ふと空を見上げ急に勇気が 湧き起こるこれぞ私の生き方と 心でうなずき 胸を張る石割りの花石割りの花 街角…

  • 偶然 – 永井龍雲

    あの日何故 あんな嘘をついたのか結婚する気だなんて くちづけの後それはでも 全く嘘でもなくて止めてほしさ半分 心見たさ仕事の帰りの 信号待ちで隣に貴方の 車が並ぶそんな偶然を まだ夢見てる夕時 小さなこの町で 今はもう 違うお店に変わって行くこともないけれど 時々通る私まだ 今からすれば若くてうしろめたさ半分 愛し合った仕事に戻って お部屋を借りて子供と二人で 暮らしていますきっと偶然は どこかに…

  • 風呼ぶ口笛 – 永井龍雲

    裏窓に座って湯上がりの夕涼み吹く口笛の音に誘われて風が風を連れて来る 篠笛のようなどこか哀しい調べ釣り蚊帳の中から聞いていた母の風呼ぶ口笛 三度吹いてはまた三度そしてまた三度 一度目は幼き頃思い出し二度目は帰ることを願い三度目は心諦めたようにきっとそうして吹いていたんだろう 夕空を斜交いに鳥は塒(ねぐら)へ急ぐ可愛い子供の手を引くように雲が雲を連れて行く 廻廊のように風が吹き抜けて行く沁みじみ沁み…

  • 仲間酒 – 永井龍雲

    こんな時に よく来てくれたなあんたも何かと 大変だろうに今夜はあんたが お客で俺が亭主って 訳なのか自棄(やけ)酒飲んで 憂さ晴らし痛いほどわかる あんたの気持ちがその日暮らしの 俺たち稼業は相身互いさ 共に仲間酒 杓子定規の 学ある奴には分かりゃしないさ 生な世の中が誰かが誰かを 支えてそれで世間は 回ってる強がり言って 馬鹿話し笑い飛ばすしか 生きてく術ないあってもなくても 俺たち稼業は相身互…

  • 再びのプロポーズ – 永井龍雲

    ごめんよ 苦労かけてばかりで話しを聞いてさえ あげられなくてずっと気になっていたんだ 心の中では僕と一緒になって君は 幸福だったかいもう一度言わせてほしい アイ ラヴ ユーと受けてくれるか 再びのプロポーズ 楽しい 思い出のひと時ため息橋の下 ゴンドラに揺られいつも救われていたんだ 無邪気な笑顔に長い歳月重ねた手に 指輪を贈るよもう一度言わせてほしい アイ ラヴ ユーと受けてくれるか 再びのプロポ…

  • 潮騒~The sound of the sea~ – 永井龍雲

    明け染めの潮騒は孤独を際立たせ厚い雲に覆われて人の影もない オレンジの街灯り遠くに瞬いて夜と朝の境界で人を眠らせる ショールの温もりに包まれ砂浜に降り立ち拾った流木で名前を書いた 思い出の中で生きて行くのは寂しいことと人は言うけれど嫌われて嫌って生きるよりもまだ価値あることと思ったThe sound of the sea 仮初めの恋愛は虚しく繰り返す心暗き深海で人を溺れさす 貝(シェル)の欠けらを…

  • 風がすべてを – 永井龍雲

    時を上りて 昔勇敢な 男たちが世界中で 戦ってこの平和を もたらした 時を下りて 今勇ましい 男たちが世界中で 息巻いてまた秩序を 破壊する 石に刻まれた 誓いの言葉も夥しい数の 死者の名前も 風がすべてを 化し去って行く風がすべてを 化し去って行く 街に集いて 人は自由を 守るために催涙ガスを 浴びて弾圧と 闘ってる 危機に臨めど なお権力に しがみついてチキンゲームを 仕掛ける亡国の 独裁者 …

  • 悲しみとともに – 永井龍雲

    窓枠に割れ残ったガラスのような無惨な私の心にもあなたの温かな日差しが届きようやく春を迎えることができました悲しみは乗り越えて行くものではなく自分を映す鏡のようなものだとあなたの言葉に前を向き歩き始めることができました 会館の前で撮った成人式の写真が最後の一枚に全てがあの時に止まったようでそれでも時はいつしか進んでいました悲しみは一人で抱えるものではなく誰かと話し分かち合われるものだとあなたの言葉に…

  • ロング・リフレーン – 永井龍雲

    今宵最後の お別れの曲声を合わせて 大きな声でみんなで歌おう 床を軋ませ 体くねらせて踊る気分になってくれたら僕らは最高 生きてる喜びで 心を満たそうこの時一瞬に 輝き与えて 歌が終われば お別れの時プラグを抜いて 楽器片付け次の町へ行く 唄える喜びは 命のカーニバル明日を真新しい 心で迎えて 音が止まれば お別れの時何故か今夜は 名残惜しさにロング・リフレーン 生きてる喜びで 心を満たそうこの時…

  • 母~命のかけら~ – 永井龍雲

    遥かなる野望と 芥子粒の勇気とその二つを胸に 人生に船出した失うもの何も なかったけれどあなたの信頼を 失くすことだけが怖かった母 それは大いなる愛 それは力母 なんて素敵な調べ母 それは果てしない海 それは憩い母 そして私はあなたの 命のかけら いわれなき自信と 報われぬ失意とその二つの事が 人生を悩ませた救いの手をいつも 差し伸べてくれたあなたの導きに これからも引かれ歩くだけ母 それは大いな…

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