武田理沙

断頭台の灯 – 武田理沙

失った未来と真実と引き替えに
この街の矛盾と嘘を教えてあげる

欲しかったものは全て手に入れたから
死神の逆鱗に触れてしまったそれだけ

干からびたパンと葡萄酒とわずかな祈り
枯れ果てた眼にうつるものは何も無い

「うしろの正面だあれ?」

鉄格子の窓から呼び止める
気配に懐かしさをおぼえ

賽を待つ あてのない
空の蒼さには 届かないから
足元に転がる 首

歳を待つ あてのない
空の蒼さには 届かないから
振り返ることもなく 進め
今は 叶わない
正しさも 願いも
心に秘めて いつか
変えてみせる

見届けて 私の行く末を
頭上には 鉄の頂が
憶えていて 私の生き様を
街の灯が 滲んでひとつになる

悲鳴と拍手喝采を浴びて
魂を天に託した

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