武田理沙

揺らぎ – 武田理沙

蒼くささめく枝の合間を
冷たい灰色の砂で縁取る

世界の秩序は
平面に保たれて
移ろう存在を
消し去るように

彼女は、

遠く離れた
異国の春を
想う いつの間にか
日は傾き――

探さないでと 言って
蘂ふる片隅に 預けた 瞳
なぞるように
遮断機が降りてゆく

彼女に囁いた
額縁の小人が

――針を進めたいのなら、点と点を結べ――

傍らの砂時計が
今 落ちて砕けた

二つ目の岐路まで
続く白線 の 微かな揺ら ぎ な ど
とうに値を外れ 彩度を増す

探さないでと、
蘂ふる片隅で、
彼女はそっと、
打ち明けた

咲き乱れる微熱を――

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