樋口了一

笑う奴 – 樋口了一

時に訪れる 気持ちの暴走
かなぐり捨てたい 強張る体
大声にできない口惜しい思い
いつからだろうか そんな自分を
笑う奴がいる

真冬の田んぼに転がり落ちて
起きれなくなって
凍えて死ぬのかも なんて思いながら
雹が降る空に向かって 可笑しくて笑う
本当に可笑しくて笑う

笑う奴がいる 笑う奴がいる
自分が可笑しくて 自分が愛おしくて
どんなに苦しくても どんなに悲しくても
それが可笑しくて
笑う奴がいる

強張って立ちすくんだまま
アスファルトに顔から崩れ
誰にも救われない 惨めさを
真っ青な空に向かって 大声で笑う
本当に可笑しくて笑う

笑う奴がいる 笑う奴がいる
自分が可笑しくて 自分が愛おしくて
どんなに惨めでも どんなに切なくても
それが可笑しくて

笑う奴は自分の強さが勝ると笑う
苦しみや悲しみはお前を強くすると笑う
笑う奴はすべてを愛すると笑う
惨めさや切なさはこの愛が
超えさせてくれると笑う

笑う奴がいる 笑う奴がいる
苦しみも悲しみも全部抱きしめて笑う
笑う奴がいる 笑う奴がいる
お前にも超えられると すべてを超えて歌えと
笑う奴がいる 笑う奴がいる
自分が可笑しくて 自分が愛おしくて
どんなに苦しくても どんなに悲しくても
それが可笑しくて
笑う奴がいる

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