槇原敬之

HOME – 槇原敬之

鉛筆を削っていると
貨物列車の音がした
夜は背中を抱いてくれるから
幸せで泣きそうになる
それにしても静かな夜だ
君の寝息が全部聞こえる
部屋を抜け出して台所で
グラスに水を注ぐ

気づくといつの間にか
足元に猫が
尻尾をピンと立てて
まとわりついてきた

何かと引き換えにしなくても
側にいてくれると信じられる
そんな存在がいる場所を多分
HOME と呼ぶのだろう

欲しいものを手に入れて
集めることに夢中になって
本当に好きかも分からなくなって
悲しくて泣きそうだった
君と暮らしてからの僕は
何かを集めなくなったな
思い返すと何かが違うと
思ってた僕ばかりだ

気づくといつの間にか
テーブルで猫は
お腹を出し油断して
目を瞑り寝ている

何も飾らないただの僕を
愛してくれていると信じられる
そんな存在がいる場所を多分
HOME と呼ぶのだろう

自分以外の気持ちが
心の中にいること
それは窮屈だけど
温かいと知った

何かと引き換えにしなくても
側にいてくれると信じられる
そんな存在がいる場所をきっと
HOME と呼ぶのだろう

心の帰る場所

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