槇原敬之

着メロ – 槇原敬之

霧雨の中ぽつりと
煙るようにともる街灯
さっきまでの賑やかな
街明かりと比べると
余計に寂しく冷たく
感じてしまう帰り道
静まりかえる路地に響く
明るい携帯の着メロ

さっき別れた君からだった
「言い忘れてた 今日はありがとう」
改まったようなその声が
思いがけず胸に暖かくて

ずっと探していたものを
見つけた様な気持ちになった
「こちらこそ ありがとう」
僕は立ち止まり返事した
世界を変えるのはこんな
短い言葉なんだと思えた
さっきまで冷たく見えた街灯が
とても暖かく見えるんだ

孤独を抱えきれない
時なんて誰にでもあると
君の誘いにつきあった
それくらいに思ってたけれど
一人では感じられなかった
時間を僕も過ごせたんだ
少し飲んで冗談に笑って
そう 全部一人じゃ出来ないこと

遠く離れた場所にいる
君の言い忘れた言葉が届いた
何気なく使っていた携帯の
本当の使い方を知った気がした

ずっと探していたものを
見つけた様な気持ちになった
「こちらこそ ありがとう」
僕は立ち止まり返事した
世界を変えるのはこんな
短い言葉なんだと思えた
さっきまで冷たく見えた街灯が
とても暖かく見えるんだ

さっき変えようかと思ったけれど
着メロはこのまま 変えないでおこう

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