森繁久弥

勇敢なる水兵 – 森繁久弥

煙も見えず 雲もなく
風もおこらず 浪立たず
鏡の如き 黄海は
曇り染めたり 時の間に

空に知られぬ 雷か
浪にきらめく 雷光か
煙は空を 立ちこめて
天つ日影も 色暗し

戦い今か 酣に
務めつくせる 益良夫の
尊き血もて 甲板は
から紅に 飾られつ

「まだ沈まずや 定遠は」
その言の葉は 短かきも
み国を思う 国民の
胸にぞ永く 記されむ

皇国につくす みいくさの
向うところに 敵もなく
日の大御旗 うらうらと
東のうみを 照らすなり

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元寇 – 森繁久弥

四百余州を拳る 十万余騎の敵国難ここに見る 弘安四年夏の頃なんぞ怖れん われに鎌倉男子あり正義式断の名 一喝して世に示す多々良浜辺の戌夷 そは何蒙古勢傲慢無礼も

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