森山直太朗

坂の途中の病院 – 森山直太朗

坂の途中の病院の患者さんは
主に夏の亡霊たち
彼らは慢性のアトピーを治すために
ニンニクの首飾りをして
月のカケラの靴を履いている
早起きが苦手な彼らは
診察の日は機嫌が悪い
(この病院の診察時間は朝の九時までなのだ!)

坂の途中の病院の院長先生は
白衣の似合う初老の紳士
彼はギャンブルとアンチョビには目がなくて
聴診器の中にラジオを仕込んでいる
薬の調合をダーツで決めて
天気が悪いと嘘の診察をする
だけどこの辺りには他に病院がないから
坂の途中の病院は今日も大忙し
院長先生は去年のクリスマスに
三台目のキャデラックを購入した

坂の途中の病院に起こった
幾つかの忌まわしき出来事
その話題に触れた者は たとえ誰であろうと
始めからこの世に
いなかったことにされてしまう
総理大臣だろうと掃除のおばちゃんだろうと
そこに区別は存在しなくって
ある意味で平等だと言えることが
坂の途中の病院らしさでもあるから不思議
今夜も捨てられた猫が
どこからともなく集まってくる
眠れないほどの鳴き声なのに
「鳴き声で眠れない」なんて
苦情を言う人間(ひと)は誰一人いないんだってさ

坂の途中の病院は良心的で有名
看護婦さんたちはとっても丁寧で
忘れ物をしたって真夜中だって
家まで届けてくれる
子供の飛ばした鼻糞だって
届けてしまうこともあるくらい
水道水と部屋の温度は
いつでも患者さんの体温と
同じにしてあって
あんまり長い間そこにいると
自分の存在さえ忘れてしまうくらいなんだ

坂の途中の病院にまつわる四つの噂
一つ目の噂は
二つ目の噂が真実だってこと
二つ目の噂は
三つ目の噂が出鱈目だってこと
三つ目の噂は
四つ目の噂が本当は五つ目の噂だってこと
四つ目の噂は
一つ目の噂が気紛れだってこと
坂の途中の病院は今日も大忙し

待合室に漂っている
バニラビーンズの香りは
昔、行方不明になった友達が住んでいた
ボロアパートの匂いによく似ている
診察待ちの列に紛れ込んだ羊たちの群れが
そこをいつまでもいつまでも
来る日も明くる日も
楽園だと思い込んでいる

飽きもせず定期健診

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