森ゆに
瞬き – 森ゆに
水たまりが二人を映して 泣いている
白い太陽の 長いあくびに二つの影が
伸びていくまでの一瞬に
風が背中を 押してゆく
風が背中を 押してゆく
静かな灯りのなかであなたが
私にレンズを向ければ
私の瞳の中にあなたが
溶けていくまでの一瞬に
花火は遠く 鳴り止まぬ
花火は遠く 鳴り止まぬ
どこまでも道草を続ける間に
夜は 進むのだけれど
どちらが先に 別れの言葉を言うのか
惑う一瞬に
雨の木が鳴り 嵐が通る
雨の木が鳴り 嵐が通る
水たまりが二人を映して 泣いている
白い太陽の 長いあくびに二つの影が
伸びていくまでの一瞬に
風が背中を 押してゆく
風が背中を 押してゆく
静かな灯りのなかであなたが
私にレンズを向ければ
私の瞳の中にあなたが
溶けていくまでの一瞬に
花火は遠く 鳴り止まぬ
花火は遠く 鳴り止まぬ
どこまでも道草を続ける間に
夜は 進むのだけれど
どちらが先に 別れの言葉を言うのか
惑う一瞬に
雨の木が鳴り 嵐が通る
雨の木が鳴り 嵐が通る
暗がりは 怖くはないよと教えたでしょう晴れ着は 持たずに行きなさい重たいから歩みのはじまりの時の扉を 開けましょうあなたはあなたでわたしはわたしでぬかるみに 足
東の空から アンドロメダの微笑みをたずさえ 夜は来るどこから生まれて どこへ消えるの瞬くはサソリの 赤い星憂いは銀河の渦のなかに君とゆうげを囲んでまた明日の 話
水色の 風の音耳を撫でたら旅人のまぶたに 魔法がかかるただ 見えるのは雲の影それからパレードの声が聞こえる赤色の ワインにほろ酔いのころ旅人のまぶたの 魔法が解
あたたかい ろうそくの灯が私を照らすのでなにひとつ 心配いらない静かに眠れますコデマリの 花が咲いたらいつでも思うでしょう透き通る 白い寝顔は神様のよう飛んでい
夕暮れに目を伏せたなら涙もこぼれましょう夢の終わり消えかける光に影を落としていく荷物を捨ててしまったならどんなにか楽でしょう愛の渇き水を求める鳥は風のように鳴く
匂いいずるちんちょうげの花によいしれる町通りのさま目ざめさなびき朝もや日をあびて 時をまてずああ 春一番の風は激しく見上げいずるもくれんの花にちりそめし白波のさ
ああ一日の終わりにさしかかり私の部屋を死の影が覆うああこの手も足も目も鼻も耳もすべてがあなたのものおやすみよ かわいいひと薄紅の夜明けがまた来たなら半分開いた冬
たそがれ時になつかしく あなたを想う待ちくたびれてなお匂う 真夏の静けさ帰らぬ人の恋し 道はぬかるみ歌ったわ 気の休まるまで今にも傾きそう 灰色の空雨だれ 洪水
過去と未来より 来たる旅人そっとその目を閉じ 耳を澄ませる長く影を曳く 強く呼ぶ声誰も触れられぬ 心より出ずる闇からの影 水に映す帆岩陰を通って 走る犬の尾夜更
霧のように夜が空をおおいかくしてあなたの好きな歌をうたう帰り道寂しくて仕方ない新しい服をまとって街を歩けば人ごみを通る風と交わすおしゃべり寂しくて仕方ない懐かし
吹き抜くすきま風白くかたどったうなじの艶っぽさを通り抜けて舞い上がっていく帽子を取る間もなく遠くへさらっていったたまにかすめた黒い雲を越えて消えていくたしかに夏
あなたのいない空に星はめぐり白い小舟のようにゆられていくあなたのいない海にひとり浮かび真昼のちぎれ雲をつないでいく美しくいられる 薬はなくても夏は来る 夢のよう