梅沢武夫

こんな女と暮らしたい – 梅沢武夫

たとえば かすかな包丁の
音で 目覚める 朝がいい
髪をきりりと 結いあげて
薄い化粧に 濃い笑顔
古い男と 言われても
こんな女と 暮らしたい

たとえば 季節の花を活け
調度ほどよい 燗の酒
酔がまわれば 膝まくら
愛の羽織を かける人
古い男と 言われても
こんな女と 暮らしたい

たとえば 二人でいる時は
馬鹿を笑える そこつさと
すねて甘える 可愛さに
涙みせない いじらしさ
古い男と 言われても
こんな女と 暮らしたい

たとえば 帰りの遅い時
みかん色した 家の灯と
直ぐに入れる 風呂のお湯
古い男と 言われても
こんな女と 暮らしたい

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