梅沢富美男

  • 今日の日を、この時を – 梅沢富美男

    誰もみな 役者のように生きてゆく 一代限り旅の途中で出会った人よあなたに 有りがとう 今日の日を この時を何があっても 忘れはしないまるで夢のような たった一幕だけどいつかいつかいつか また会いましょう 故郷の 空に向かって深々と 頭を下げたあの日私を 育ててくれた大地よ ぬくもりよ 春がゆき 夏が来てめぐり巡って 季節は変わる父よ母よいつも どうか星の隣でずっとずっとずっと 見ていてほしい 今日…

  • ノスタルジア – 梅沢富美男

    想い出よ目を覚ませ昔(いにしえ)よ過ぎし日々よあの日愛した女(ひと)は今酊(よ)い痴(し)れる哀しみは女には判るもなく今夜は君を抱くのも忘れ記憶の海に漂えばああ 少年に帰ろうか迷いひとつなきあの頃へああ 河岸(かわぎし)で独り夢を見る時代遅れでも男は ノスタルジア… 春に散る花もある冬に咲く花もあればされど我等が愛しき過去よまた心にも雨が降るああ 少年は帰らずか悩みひとつなき時はもう星を標(しるべ…

  • 夢芝居 – 梅沢富美男

    恋のからくり 夢芝居台詞(せりふ)ひとつ 忘れもしない誰のすじがき 花舞台行く先の影は見えない男と女 あやつりつられ細い絆の 糸引き ひかれけいこ不足を幕は待たない恋はいつでも初舞台 恋は怪しい 夢芝居たぎる思い おさえられない化粧衣裳の花舞台かい間見る 素顔可愛い男と女 あやつりつられ心の鏡 のぞき のぞかれこなしきれない 涙と笑い恋はいつでも初舞台 男と女 あやつりつられ対のあげはの 誘い 誘…

  • 恋暦 – 梅沢富美男

    花びら触れる 愛しさで恥じらう肩を 抱いた春ひとすじ蛍 飛ぶ夜に命を焦がし そして夏人生は廻り舞台めぐり逢う めぐり逢う恋暦 あぁ おまえ そぼ降る時雨 別れ唄季節のさだめ 濡らす秋舞い散る雪に 山茶花の紅色胸に しみる冬人生は廻り舞台行き過ぎる 行き過ぎる恋暦 あぁ おまえ 心の奥に 灯をともし女がひとり 待ちわびて旅路の果てに 面影を男はいつか 振り返る人生は廻り舞台やがて咲く やがて咲く恋暦…

  • あなた – 梅沢富美男

    不意に大地が割れて深い 亀裂の谷間わたし 独りが今もそう 想い出の中 なぜに これほど辛い愛の 別れに堪えて人は どうして生きる意味 探すのでしょうか あなた あなた あなたの声今も 耳に 聞こえるようであなた あなた あなたの声夜毎に 恋しくて あああいつかは きっと 逢えるから今夜は 夢の中 あの日 あの時 だれがたった ひとつの命風が 吹き消すようにそう 吹き消した…のか 今も両手合わせて名…

  • 花舞 – 梅沢富美男

    あれは昔というほどの遠いことでは ないけれど女ひとりの 生きるみち曲りくねって遠くなる季節季節に花があり咲いて乱れて 散り急ぎ人の出会いの数々も色とりどりの花の舞 なぜ なぜ なぜ 女この世でおまえ なぜ 女 白くまぶしいやわ肌に人の嘆きをからませて時にためいきすすり泣きだけど怨みは しなかった耐えてしのんだ つぼみにも今日を限りの花びらも生きるさだめの風が吹き折れよとばかり 花の舞 なぜ なぜ …

  • 華ざかり – 梅沢富美男

    出会いの時の高鳴りは少女の頃と同じもの夢か現実か覚めやらぬ恋の吐息のその森で紅椿心に咲き濡れるよ微笑みで心の扉 開いたらくちびるさえずり 夜もすがら遊びで恋などできないと涙で男の胸濡らす 恋に焦がれて 愛に憧れいつも女は恋がいちばん 愛がいちばん愛がいちばん 今 華ざかり 少し派手めの口紅はときめく心 隠せない苦しい恋の重ね塗り深みを増したその森で紅椿ひときわ 咲き揺れるよたち込めた香りの行方見失…

  • キャラバン – 梅沢富美男

    もしもかなうことなら世界中で一番 愚か者と いわれようたった一人だけのために 生きて死んだ馬鹿な奴と云われよう変らぬものを 人はどれほど数えられると云えよう キャラバン 星さえも命定めなくキャラバン 人の世は全て 移り行くキャラバン この愛はそう奇跡への 旅・夢 もしも君が望めば山も河も動かし 大地変えて見せようたった一人だけのために生きて死んで笑顔を 見せもしよういいかげんな自分に死にものぐるい…

  • 花走馬恋燈籠 – 梅沢富美男

    初恋はさくら草二度目野菊の隠れ咲き夢もどき梅もどき四度目世慣れて鬼あざみたよりなきもの 人の心よ飽きても 泣いても また恋を追う 戯れの紅はこべ遊ぶこでまりそぞろ咲き行きずりのゆずりはかひと夜限りの夕顔か愚かなるもの 人の心よ懲りても 悔いても また恋に酔う 花走馬 駆けようと恋燈籠 回ろうと今目の前の お前の不思議いずれの花に 例えようもなく ううなぞの一輪 名付けようもなく ああ 旅先の月見草…

  • こゆき – 梅沢富美男

    北の空から 舞い散る雪に今日も港は 暮れてゆく馬鹿な女と 指さされてもいいの あなたが 好きだからあんなに優しく抱いた人死んでも私は 忘れない こゆき こゆきは 漁火にそっと 今夜も 祈りますこゆき こゆきは ただひとりあなた 信じて 待ってます 風の海峡 背のびをしても霧笛ばかりが 哭きじゃくる女ざかりを ひとり寝まくら寂しすぎます ねぇ あなた嘘でもいいの もう一度やさしくされたい 抱かれたい…

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