桐嶋ノドカ

風 – 桐嶋ノドカ

呼吸はとうに止まってた
風が運んだ砂に埋もれ
皮膚は分厚く乾いた
私自身を捨てられず

水は底で腐ってた
明日もあると思い込んでた

だけどもう行こう
足はまだ動くから

どこまで歩いても風の中
夜明けの光さえ忘れそうだ
それでも今をただ
生きてみるしかないんだろう
風の中を

傷つくこと恐れて
感覚ごと失うなら
強く痛み感じても
自分の生命握っていたい

だからもう行こう
何もかも脱ぎ捨てたら

喜び悲しみも風の中
その全てが私を生かしてく
ひりつく新しい
肌のまま走りだすよ
風の中を

息が苦しいほど強い風
吹き返した呼吸で突き破る
無防備な心のまま
指差した方向へ
風が吹く

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