柴田聡子

  • どこへも行かないで – 柴田聡子

    眠らずじっと天井を見ているこぼれるはがれるそういうものをいたいこわいこっちはついに分からないひとつひとつばらばらになっていくのを どれだけすごいか追いつかないかってのがどんなかたちにも変わらないように絶対ちがうけどよく似てる布でくるんで抱きしめてどこへも行かないでどこへも行かないでどこへも行かないでどこへも行かないで 洗面所の鏡ごしに見てくる分かるはずないのに分かりたい衝動足を取られた深い雪の中を…

  • Synergy – 柴田聡子

    ねずみ色の羊雲に染み込み日増しに澄み渡り潤むオレンジまだまだ良くなりそうなシナジーどこでどう巡り合い同じ季節に寄り添ってどこでどう分かれてくのか出口は 山道 葉っぱを ふみふみ 焚き火を囲んで 月並みなものを放り込んで焼いて火の前ではちょっと霊感の感度も過ぎて振り切れる煙の 前でこうして いるから ピンときた いっしょに会社起こしてオフィス構えようか悲観に楽観に展望にバカンスも信じているだけで 怖…

  • ようこそ – 柴田聡子

    ようこそ よく来たねここへ岩だのなんだの乗り越え周りの反対も押し切って高速も通ってなくて電車も週に1本2本ロイホにもスシローにも一苦労スナックは街にひとつひとりぼっちのふりしてたけれどそんなことはただの一度もなかったんだけどようこそ!言ってみたかったんだ今日こそようこそ!言ってみたかったんだ今日こそ ようこそ 早く入りなよ家に風呂場のシャンプーリンスどれでも冷蔵庫の中こっち麦茶こっちそば茶まぎらわ…

  • MSG – 柴田聡子

    開けたらそこは夢よりも夢のただなか公園で遭難した次の日は次の日は恐竜を見た 干からびた骨のあとかた例年になく雪の無い冬だった 冬だった ゆるい弧を描く吸い込まれる運命の上をすべる涼しくがんばるチワワナイスバランス! ここへきたなら絶対ペプシは飲まねばいくらでも払いますわ 9ドルでもよろこんで長いマフラー好みじゃ無いけど巻いてきた寒い寒い気を付けろって散々うるさく聞いてたからさ 熱を帯びたらそっけな…

  • n,d,n,n,n – 柴田聡子

    目の覚めるままに起きてみてるの この頃鍵かけないまま出てくあの人困るの そろそろ 流れる雲 見上げてから横断歩道を渡るすぐ赤になる 4月の約束 小走り まだ守れるはず ここがどこだか 2時間かかって遠かった今日もお仕事 パチンコ行かないでえらいでしょ くすんだ黒のこの夜の向こうにあふれる太陽ではないあかりが画用紙に切る小さい穴から夜景や夜空になって漏れ出す そこがいつかは大人気の街になるんだって今…

  • 南国調絨毯 – 柴田聡子

    ただしく眠るしか能が無かったかのようなついこの間のようなはるか昔があったならもうこの先はずいぶんつまんないことが増えたように見えるかな 軽く砂山を蹴った親指にバッタ肩にとまった後に黙ってしんとしたいつかこうなるの誰が知ってたいつまでも敷いた冬の絨毯の 柄はユートピアとんがったくちばしが並んだ飛んでったつもりが飛び立たれたドアの外には砂ぼこりと雪がひざまずくらくだ凍りつく甲羅 いつまでも一緒にいるの…

  • 夕日 – 柴田聡子

    大人子どもおじいちゃんおばあちゃん孫なにもかも渡って行く道路思わぬとこに猿の置物へー、みゆきも住んでたんだ こんなとこで出来るのお勉強酸素炭素水素窒素空虚知る人ぞ知る歯医者の窓へー、なおみも住んでたんだ どこで適当に聴いても泣けてた曲レコード買って聴いてそうじゃなくても宝物 疲れたからお茶でもどう?お酒でもぜひどうぞどうぞそのついでに夢を話すと海も川も土も全部欲しいよう 奥が想像できない顔だけみた…

  • 24秒 – 柴田聡子

    止まれよ ああ止まれよこれ以上前に運ばないで車だってそうしたくってしてはいないって頭でわかってたってでもすでにある楽しみは突然の悲しみをまたいで飛んで 肩をなでて「そこを右に」勝手に指を指す ただ時計の針を泣いて見つめるだけじゃ止まらないよ時は ただ去っていくだけ知って知って知ってばかりなんてあまりにも遠いとこのおはなし 祭りだ でっかい祭りだ 待ちに待っていた今日だ心よいいよ 失くしていいよ元気…

  • ジャケット – 柴田聡子

    ジャケット 最高のジャケット ジャケットジャケット 最高のジャケット ジャケット 銀河から落っこちてみたとばかり気取って揺れている木が刺さったとこから見える真っ暗闇が誘ってくる完全な姿で著しく欠けているのにお澄まし顔君は君の魅力のたった1%すら分かっていない風はずっと向かい風寸前にちょっとつむじ風握った手の中のどんぐりすべすべできらきらしてる ジャケット 最高のジャケット ジャケットジャケット 最…

  • 旅行 – 柴田聡子

    飛び跳ねようね防波堤の上でぎりぎりになってぎょっとしてほっとしようね肩組み合って割れる波を見ようねどっちかがどっちか落っことそうとしてみたりね 長く感じるな道 道 道さっきのは嘘嘘だったんだってば 帰りたいでしょだけど帰れないんだようっすら気づいてるけどそれでも来たでしょ話したいこと話そう思いつくまま話そう全部話せなくても良いし どっちかがさらけ出したらどっちかがさっと冷めてそうしたら戸惑いからだ…

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