松島詩子

緑の風に誘われて – 松島詩子

緑の風に 誘われて
一人で旅に出たのです
こうして瞼 閉じてると
私のそばに 寄り添った
暖(ぬく)みがそっと 包みます

心(こころ)の中(なか)に 抱(だ)きしめた
貴方(あなた)といつでも 二人(ふたり)です
心(こころ)の中(なか)に 抱(だ)きしめた
貴方(あなた)といつでも 二人(ふたり)です

別れた夜の 涙さえ
ずいぶん遠く なりました
それでも胸の 小箱から
思い出一つ 採(と)り出して
昔の頃に 戻ります

心の中に 抱きしめた
貴方とお話 するのです
心の中に 抱きしめた
貴方とお話 するのです

車の窓を 流れてく
若葉の蔭が 素敵です
知らない山の 湯の宿に
ふらりと降りて みませんか
あの日の夢が こぼれます

心の中に 抱きしめた
貴方と今でも 一緒です
心の中に 抱きしめた
貴方と今でも 一緒です

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マロニエの木蔭 – 松島詩子

空はくれて 丘の涯(はて)に輝くは 星の瞳(ひとみ)よなつかしの マロニエの木蔭(こかげ)に風は想い出の 夢をゆすりて今日も返らぬ 歌を歌うよ彼方(かなた)遠く

かすみ草 – 松島詩子

この花が好きなのは 日差しの中で往く春を惜しむよに 咲く花だから光るなみだ 風の匂いあの日別れたふたり壊れてく幸福(しあわせ)の 形のようにかすみ草 かすみ草 

星座仰いで – 松島詩子

夜空を仰げば きらめく星座聞かせておくれ過ぎし日の 想い出をあの人の あの瞳 そのままに私の心に 優しく囁く吐息に揺れつつ 瞬(またた)く星座伝えておくれ忘られ

雨の郷愁 – 松島詩子

雨が静かに 降る宵(よい)は青いオームも 赤い灯(ひ)もなぜかさみしい 物思いわたしの胸も ぬれてくるだれの嘆きの 涙やら忍び泣くよな 雨の夜は遠いあの日が あ

スペインの恋唄 – 松島詩子

燃えて開いた紅(くれない)の バラの花よああ カルメン刺すとげの 痛さ知れどああ この胸を 誘う香(かお)りよ君ともに踊らん狂おしき ハバネラの調べに夢をたたえ

夜のバイオリン – 松島詩子

夜のひととき ひき鳴らす恋はかなしい トレモロかあなたは あなたは どこにいる月が木陰に 下(お)りる夜はそっと取り出す バイオリン君は優しい 紅のバラ恋はかな

マロニエの並木路 – 松島詩子

黄昏の 鐘の音が流れてゆく銀座裏逢いましょう 逢いましょうマロニエの並木路君待てば 君待てばゆれてユラユラ 夢がわく紫の仄(ほの)かな アベック・タイム想い出も

枯葉よ語ろう – 松島詩子

木枯(こがら)しの笛の音に 誘われてペーブを踊って行く 枯葉よ 枯葉若いみどりの あの夢はどこになくして しまったかわたしといっしょに あてもなく探して行こう 

さよならも言わないで – 松島詩子

さよならも言わないで 笑顔(えがお)を見せて思いきらせたあなたはさすが いきな男ふり向けば ふりかえり気まぐれなものねさよならも 言わないでさよならも言わないで

上海の踊り子 – 松島詩子

霧の夜を 月の夜を踊るランタン 踊る上海夢を見るよな 踊り子の黒い瞳が ぬれている ぬれている街の灯も 窓の灯もみんな呼んでる 歌の上海リラの花さえ 開く夜を何

花の溜息 – 松島詩子

月のほほえみか 星の吐息かそよ風に やさしく匂う白いくちなしの花よひめやかに ひめやかに人知れぬ 愛の想いに咲くああ 夢の花白いくちなしの花夜のしずけさに 花の

私のアルベール – 松島詩子

夜霧深い 街(まち)のペーブくずれ落ちた ミモザ一ついつもあなたの 胸に咲いて香(かお)りしこの花あの日の夢よ 再び我にかえれよ想(おも)い出なつかし パリの夜

夜のささやき – 松島詩子

夜のひくい足音 それはつぶやきうるむ赤い灯 それはなみだむせび泣いている 裏町の乙女愛は切ないもの 恋は甘いもの雨が降る 雨が降る恋も 夢も 流して雨が降る 雨

潮来の雨 – 松島詩子

潮来出島(いたこでじま)の真菰(まこも)の花に降るは情(なさけ)のサア降るは情の 雨かしら雨は雨でも夜ふけの雨は船頭(せんどう)泣かせのサア船頭泣かせの よにく

恋のボンゴ – 松島詩子

赤い 赤い夕陽(ゆうひ)の あちらから夜は 夜は南の 島に来る椰子(やし)の葉末 わたる風に揺れて響くよ あのしらべボンゴよ ボンゴよ 恋のボンゴよ寄り添いうた

黒きバラ – 松島詩子

黒きバラに そそぐ雨はさみしき 想(おも)い出の糸か胸に残るは 昔のあの日別れのことば 小雨にけむりて遠く去り行きし あの人黒きバラに 指をふれて静かに 想い出

喫茶店の片隅で – 松島詩子

アカシア並木(なみき)の 黄昏(たそがれ)は淡い灯(ひ)がつく 喫茶店いつも貴方(あなた)と 逢(あ)った日の小さな赤い 椅子(いす)二つモカの香(かお)りが 

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