東城陽奏

温度 – 東城陽奏

鳴らした音の
重なる色には
全て意味があるんだと
歌った君の
暖かく灯るその心が好きだった

どれだけ深く飲まれても
どれだけ酷く転んでも
君がくれた心の温度だけは
もう失いたくない

さよならは僕を
映し出した
いつまでも降る雨に
溺れてはまた漂っている
泳ぐこともできない夜を仰いでる
あの時に強く繋いでいた
手を振り解いたのは
泣きじゃくった君じゃなくて
光を忘れていた僕の心だった

「ふたりぼっちの苦しみはきっと
幸せなことなんだよ」
ひとりぼっちの
この僕にはもう
君の言う幸せはない

どんなに不甲斐ない僕を
諦めたくなった日々も
君と歩くふたりの未来だけが
道標だった

涙の数だけ溢してきた
ごめんねの数だけ
ありがとうを言えていたなら
もっと君を笑わせていられただろうか

なにもかも無かったかのように
なさけない僕も照らす街
ずっと誰かを待っている
メリーゴーランド
時刻む程色濃くなっていく
月影

さよならは僕を
映し出した
いつまでも降る雨に
凍えた僕を包んでくれた
大きな温もりを僕は離した
いつまでもずっと祈る程に
幸せ縋る程に
君の温度を奪うだけの
光を忘れていた醜い僕が居た

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