村下孝蔵

  • 夜行列車 – 村下孝蔵

    通り過ぎていく 街を横目で見流しタバコに火をつけながら遠いあの街へ ひとり列車に乗り込み誰にも別れ告げずにいつも思ってた 夢を追いかけこの街を離れていくよ いつか帰るその日にはきっと手みやげのひとつ持っておまえのところへ会いに行くよ 遠く消えていく 街の明かりが何故か今夜はいつもと違う いつも思ってた夢にすべて預けこの街を離れていくよ いつか帰るその日までずっとこの俺のことを今と変わらないままで待…

  • 私一人 – 村下孝蔵

    愛する人のない冷たいこの街で私は一人生きてゆけるあなたの後を追い ここまで来てみたがもう今は逢わずにいたい日暮れには茜雲故郷とどこか似ているこの場所で あなたの幻を追いかけ愛されることが下手な私だけど薄紅の朝を待っている 誰かを好きになり もし叶わなくても私は一人生きてゆける人ゴミ 帰り道 ドアに写る顔にふいに悲しくなったけれど濡れた舗道 人待ち顔でさまよい歩く寂しさこの場所で あなたの幻を追いか…

  • 陽だまり – 村下孝蔵

    蝉時雨 遥か すだれごしに水を打つ夏の夕暮れ石が川面を跳ねるようにときめいた君を想って 陽炎がゆらめく街この場所から遠く空を見てああ君に会いたい 今すぐに声を聴きたい きらきら 夕焼けの中 微笑みなげて望みを祈りにかえたら一番大事な事忘れずに 輝いていて欲しいよ 早く会いたい たった一言心から叫びたいよきっといつかはめぐり逢い結ばれると信じていたと 歩きだせばこの背中を追いかけてついてきて欲しいあ…

  • 丘の上から – 村下孝蔵

    君を連れてゆく この白い船がもうすぐ港を離れこのまま君を見えなくなるまでここで見てるのも てれくさいだから いつか 二人で登った港の見える あの丘で君を見送るよ 見えなくなるまでだから 今 行くよ 二人過ごした ほんの短いこの街での出来事が今想い出に変わってしまうこんなに鮮やかにいつか二人で暮らそうと言った言葉は慰めさ君もいつの日か 今の僕の気特がわかる日がくるだろう 寂しいのは君だけじゃないだか…

  • 引き算 – 村下孝蔵

    新しい朝が来るたび生まれたての風が吹くいつまでも変わらぬものが心の奥に赤い夕陽に向かって君を思いきらめく星を見つめて君を思ういつの日か雪のように溶けて消えるならばはかなきは生きること愛しさは生きること 一つたして増えたあとで二つ引かれ一つ減り少しずつやせていくのにゼロにならない眠れぬ夜の暑さに君を思い凍える街の灯りに君を思ういつの日か雲のように流れ消えるならばはかなきは生きること愛しさは生きること…

  • だっこちゃん – 村下孝蔵

    風に舞った落ち葉は 雨に濡れて行き交う人に踏まれ 形をなくすどんな言葉つくして 話し合ってもみんないいわけになる 説明はできない恋をして うち明けて 結ばれ人の道を 遠く 離れていった逢いたくて あなた追いかけた叱られて 抱かれた だけどうれしくて もっと追いかけた吹き飛ばされ 押しつぶされ踏みつけられていた雨の中で 床に落ちたボタンを 不意に踏んで痛みが胸を刺した そんなサヨナラだった楽しくて …

  • アキナ – 村下孝蔵

    おまえのそばにいたい 頭なでてやりたい耐えて忍ぶ 細い肩は 哀しからずや純情おまえのそばにいたい 愛を貫く姿泣きはらした 大きな目は 愛しからずや 少女 歌ってくれ むせび泣いて一途な想いを可憐な花 赤く 咲きな可愛い笑顔を 見せなよ おまえのように生きたい 男らしく生きたいただひたすら ひたむきな夢 追い掛けている純情おまえのように生きたい 何もかも捨ててまでガラスの恋に 打ち震える か弱き 愛…

  • ネコ – 村下孝蔵

    いつも 僕は おまえのこと “ネコ”と呼び捨てにしてた細い目をし 寒がっては 眠そうに起きてた 真夜中 目が醒めると 隣で 横向きで まるまっていた寝言の声 小さな音 泣いているように どこへ 君は消えた 訳も伝えず道に迷って 裏町の中を走り雨の中を一人 震える身体ずぶぬれになり 瞳光らせ 何を探すの 怒った時は 爪をたてる 僕を睨みつけるように髪をなでる うれしそうに 笑い声 あげた 気が強そう…

  • 夢のつづき – 村下孝蔵

    あなたの夢を聞かせて そうしていると幸せな気分になると 君は笑ったワイングラスをあふれた 僕達の時間こぼれてしまった後で ふと気づく 雪の中をかける 小犬のように帰り道 確かめながら 遠くへひとつ上の愛を 求めたわけじゃないひとつ上の恋を 探したわけじゃない 貯金箱につめこんだ 小さな硬貨取り出そうと壊したよ まるで子供さ欲しいもの手に入れても 満たされぬ心たった一人の自分を かばってる 僕にもた…

  • ゆうこ – 村下孝蔵

    記憶の陰にぽつりと座(すわ)り 淋しげに白い指先 ピアノを弾く女(ひと)「ショパンが好きよ 悲しい調べ奏でれば恋のできない私に似合い」と言った女(ひと) どんな過去が君を変えてしまったの瞳の翳りが せつなすぎるよ 言い出せない愛は 海鳴りに似ている遠くから 絶え間なく寄せ胸を強く揺さぶる ピアノの音はどこか冷たく あの女(ひと)は壁に掛かったモナリザのように子供のような僕のことなど見もせずに真珠の…

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