村上良輔

熱海恋しぐれ – 村上良輔

吐息に曇る 鏡のなかに
愛の指文字 重ね書き
添えぬ人とは 知りながら
夢も一夜の 花吹雪
あああ 女はかない 熱海恋しぐれ

浴衣の文字に 想いを寄せて
いつか来ました しのび宿
にじむ湯の香の 腕枕
残る移り香 夢花火
あああ 未練そぼ降る 熱海恋しぐれ

海鳴り聞けば なおさら募り
頬にこぼれる 涙雨
たどる宛てない 湯の宿の
一人枕に 降るネオン
あああ 胸に散ります 熱海恋しぐれ

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