村上紗由里

夜明けの十字架 – 村上紗由里

頬をつねってみても、悪い夢は終わらない
唇噛みしめて、耐えるだけ
寂しい六畳一間に残されているのは
あの人を失った傷みだけ

もう来ないもう来ないもう来ない愛おしい日々
もう来ないもう来ないもう来ない帰って来ない

天井を眺めていても、溢れる想い止まらず
涙の染みの痕、指でなぞるだけ
私はどこで何を間違えてしまったの?
今更解っても後の祭り

もう来ないもう来ないもう来ないあの人との日々
もう来ないもう来ないもう来ない帰って来ない

少し開けてみたカーテンの隙間
空は新しい<これから>の準備
「なんでよ?!」
一人で飲んだ夜明けのコーヒー
でも、抜け殻の魂(たましい)では、明日(あす)に踏み出せない

「私の肩にそっと置かれた、十字架の重さを、
貴方(あなた)は知っていますか?
ねぇ!そもそも、貴方(あなた)は運命(さだめ)の行き先に
迷ったことがなかったのですか?」

一人で飲んだ夜明けのコーヒー
そう、抜け殻の魂(たましい)では、明日(あす)に踏み出せない

もう来ないもう来ないもう来ない約束の日々
もう来ないもう来ないもう来ない二度とは来ない

嗚呼!もう来ないもう来ないもう来ないあの人との日々
嗚呼!もう来ないもう来ないもう来ない帰って来ない

私が知らない女(ひと)と、どうぞお暮らしください
悪いけど、幸せは祈らない

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