木根尚登

東京バラッド – 木根尚登

あの日僕はギターと大きな夢を抱えて
手にはひと月もたないお金にぎってた

働く場所も住む場所もなくたどり着いたけど
明日はなぜか眩しくステキに見えた

泣きもせず 笑いもせず かと云って怒りもせず
ただ黙々と過ぎる日々と人々

はじめは不思議に思った淋しすぎる人の波
でもいつか僕もそうして歩いてた

一緒に出てきた友達は半年で都会を出た
父親が倒れて故郷へ急いだ

それでも僕はガードの下で唄い続けていた
ホームレス達の拍手の中で

三年かけて貯めたお金を騙し取られた
「レコードデビュー」と云われすべて渡した

この都会では騙すと騙されるとが
同じだけ責められるんだと教えられた

十年という約束の日は
もうとっくに過ぎているけど
悔いがないと云えば嘘になる
でもなぜか心は青空

さよなら東京
丸ビルが夕日に染まる頃
家路を急ぐたくさんの長い影
ありがとう東京
今日の日が思い出に変わる頃
また会おう みんなでね 笑顔でね

ホームで手を振る少女 少女を抱く母親
窓の中から手を振るおばあちゃん

少女を抱く母親は 心で叫ぶ
「かあさん、わたしも帰りたい」

東京駅中央通路 トラベルキャリーをひく
七色の爪の女の子

輝いてた夢に破れ故郷へ急ぐのか
キミの生まれた町の言葉聞きたい

めぐりゆく季節の中で僕にも家族ができた
明日はなぜか眩しくステキに見えた

すぎてゆく季節の中であの頃をながめてみた
見えないものがようやく見えてきた

十年という約束の日は
もうとっくに過ぎているけど
悔いがないと云えば嘘になる
でもなぜか心は青空

さよなら東京
丸ビルが夕日に染まる頃
家路を急ぐたくさんの長い影
ありがとう東京
今日の日が思い出に変わる頃
また会おう みんなでね 笑顔でね

さよなら東京
丸ビルが夕日に染まる頃
家路を急ぐたくさんの長い影
ありがとう東京
今日の日が思い出に変わる頃
また会おう みんなでね 笑顔でね

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