月詠み

真昼の月明かり – 月詠み

真昼の月の明かりの下
君が幽かに見えたんだよ

ほら もう藍の空に融けた想いに手を振る

アデュー アデュー

悴む指を包む
その体温に溶けては滲む痛み

すめく夜に 途切れないように
また鍵をかけて

隠していたいとか思ってるって本当のとこは
伝えたいことがあるってことって気付いてる

一秒で過去になるんだ この瞬間さえも
そう、昨日の明日に生きながら

明日が人生最後の日だとして
今日なにをしても悔いは残る

ああ「もう消えたい」なんて嘘だ
でもどうしてもここが痛いんだ

満ちては欠ける月のように
この心もまた形を変える

今を この時の思いも
歌にして綴じ込められるかな

木立と線路に沿い二人が歩いた足跡だけ残る

降り濡つ帰り道
その手を離さずいられたら

ねえ、まだ夢を見てる

全部が嘘みたいだ

ああ
今日まで何度も目覚めて
でも僕は今もあの日のまま

終わる日は遠くて近くて

碧落を見上げて 月を待つ

残る人生最初の日が来て
昨日のことさえ忘れていく

どうでもいい
愛も夢も
救えやしないから なにも

もう世界が終わっても構わない
とか歌う誰かの嘘が痛い

きっと願っても叶わない
でもどこかで期待して生きて

真昼の月の明かりの下
君が幽かに見えたんだよ

ああもう
この最後の時まで
なあ どうして言葉が出ないんだよ

言えないまま手を振る

アデュー アデュー

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