斉藤朱夏

もう無理、でも走る – 斉藤朱夏

全速力で走ってきた分だけ
転んだときの傷は痛いものでしょう そうでしょう
分かっていたって涙は落ちるよな
どうしようもなく あふれてしまうもんな

願えば叶うとか 簡単じゃないんだよ
簡単じゃないから 私は願うんだよ
流した涙に きっと意味があったと
信じたい 信じたい 信じたいだけ

もう無理だ 動けないよ
でも 心はまだ躍るだろ
そうだ 何十回 何百回 何千回 何万回だって
何度も 何度も 立ち上がるよ
もう終わりだなんて言うなよ
まだ始まってもいないだろう
そうだ 何メートル 何マイル 何百光年の道だって
それでも それでも 走るよ

あと少し もう少しで届くのに
いつだって残りの一歩が遠いな 遠いな
追いかけてるのか 追い詰められてるのか
時々 見失いそうになるよ

全部捨てたなら 楽になれるかな
楽になれたなら 楽しいと言えるかな
答えを出すには まだ早すぎるから
信じたい 信じたい 信じたいだけ

もう無理だ 動けないよ
でも 瞳はまだ遠くへと
そうだ 何十回 何百回 何千回 何万回だって
何度も 何度も 踏み出していこう
あとどれだけ息は持つだろう
いっそ分からないまま行こう
もしも 数年間 数日間 数秒間しか無いとしたって
それでも それでも 走るよ

強くなるのは難しいね
きっと 性懲りもなく
また転んで 泣いて 繰り返すかな
それでも ここまで来た自分を信じたい

もう無理だ 動けないよ
でも 心はまだ躍るだろ
そうだ 何十回 何百回 何千回 何万回だって
何度も 何度も 立ち上がるよ
もう終わりだなんて言うなよ
まだ始まってもいないだろう
そうだ 最大限 最上級 最高の一瞬 目指して
それでも それでも 走るよ
それでも それでも 走るよ

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