折笠富美子

10月の心変わり – 折笠富美子

待っているしかできなかった
ただそばに居たかった
積み上げたため息がひとつ消えていく

あの日感じてた終幕の
張りつめた空気の中
やさしい温度だけが胸に痛い

離れて生きること あなた決めたのに
悲しくもう一度あたし抱きしめた

10月の心変わり また初めから
幸せをきっとふたり掴むために
だから振り返らず ひと思いに
ここから出て行って
オワルコトの決意
せつなさで揺らがないように

忘れゆくための未来なら
時間(とき)はふたりの味方
遠くなる思い出がひとつ褪(あ)せていく

ずっと信じてた週末の
穏やかな空気の色
染み込んだ感情が胸に痛い

責めないで生きること あたし決めたから
無理して笑ってる ごめん泣かないで

10月の心変わり 見送る影と
住み慣れた部屋の匂い振り解いて
今は振り向かずに前だけを
見つめて出て行って
オワルコトの決意
せつなさで揺らがないうちに

10月の心変わり ふたりの涙
この次の恋もきっと素敵でしょう
出逢えてよかったと思えるから
ひとりつぶやく
「ありがとう」の言葉
あなたへの最後の言葉

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