折坂悠太

夜学 – 折坂悠太

こんな事もあるものか 留まっていられようか
それは土手から川べりへ、
スパイラルを描くやぶ蛇です。
ここへは何度も来ましたが、
未だに向こう岸に渡れません。
冷めるが冷え切らぬ温度に膨張し、
一心不乱に同じ動作をするのが我が常です。

鉛筆、尖らせて先端を見つめます。
今見たのが眠れない理由で、
これから見るのが眠るべきひとつの答えです。
いつ君が来てもいいように、
ボトルのフタを全て空けておきました。
きっとこれを、気に入ると思います。

そうここは夜学 まだ皆が若く
持て余す手が 足が 濁流にあがく

そうここは夜学 話すにはとても長く
ここから去ったあなた方に
小さくても旗を掲ぐ

あらゆる季節 そのどれとも呼び合って
暗中活を見る
野に花の咲くような
野に花の咲くような

それはいつもの道ですが、
その日は寝そべる大きな壁に思えました。
ほとほと疲れはてた夕暮れ 神社の境内
バレエ教室の子供達が
トーシューズをならしているのを見て、
きっとこれが「文化」なんだと、
ぼんやりした頭でそんなこと考えました。

煙突、写真に収めてトイレに飾ります。
頭上に横たわる火の玉に寄せて、
君も僕もまるで違う歌を書きました。
そのどれをも焼き払う温度でまた朝が来るのを、
できることなら、できることなら笑って、
迎えられたらと思うんです。

そうここは夜学 まだ皆が若く
持て余す手が 足が 濁流にあがく

そうここは夜学 口にすればとても苦く
名も知らぬ青い葉に 絶え間なく水を注ぐ

あらゆる物語 そのどれにも出て来るような
断絶を覚えつつ その名に寄せて歌を詠むような

そうここは夜学 まだ皆が若く
持て余す手が足が濁流にあがく

そうここは夜学
話すにはとても長く / 振り向けば遠く遠く
ここから去った / そこへ留まった
あなた方に 小さくても旗を掲ぐ

あらゆる季節 そのどれとも呼び合って
暗中活を見る
野に花の咲くような
野に花の咲くような

人気の新着歌詞

平成 – 折坂悠太

平成、疲れてた それはとてもどこにも行けず止まれずに夕焼けよ 通りを覆え 赤くあれ平成、眠っている 小さく熱くヘッドライトが壁で遊ぶ嗚呼夜よ 子供達に静かなれ平

逢引 – 折坂悠太

かける はねる真澄の空に手をかざす喝采と悪口が代わるがわる血を注ぐつねる かわす好き合うものに日が暮れる互いの生傷を薄暗に伏せている歌が唇を 伝うほどに手を取り

丑の刻ごうごう – 折坂悠太

苔のむすのを 踏みうち踏みぬき麓へ下る 水流る箇所箇所廻り黒たび白たび火元はいつも この私あがらごうごごうごうごうごごうごうごうごごうごうごうごうごう老い先まわ

さびしさ – 折坂悠太

頃合いをみてはここでまた会おう乱れ飛ぶ交通網を縫ってやがておれたちは 砂浜の文字を高波に読ませて言うだろう「長くかかったね 覚えてる」風よ このあたりはまだか産

坂道 – 折坂悠太

坂道を駆け下りるこの体に開かれた世界を置き去りに鳥のように駆け下りる重心を低くとり加速するこの命が過ぎてく家や木々を抽象の絵に変える季節が耳打ちする「似合わない

光 – 折坂悠太

このゲートをくぐる時 振り向けど私がいたことを誰も知らず眠りつくは持て余す暗闇をあなたと抱きしめた そんな事もありえない そう思ったあの時来るはずない そう思っ

揺れる – 折坂悠太

そちらは揺れたろうか揺れたろうか交わる事のない道なりに地平を破いた風景が通り過ぎてく彼の地のあなたと呼び合い歌うは夢だろうか夢だろうかそちらは揺れたろうか揺れた

旋毛からつま先 – 折坂悠太

すんかすと虫が這って死ぬる季節を連れてきたねんごろの 欲望は話を聞いてはくれないよ現れたその気持ち名前をつけてはいけないよ愛してる 死んであげるそれじゃまた今日

みーちゃん – 折坂悠太

みーちゃんダメ どこ行くのみーちゃんダメ こんな夜更けに草木が濡れて擦れる匂いみーちゃんダメ こっちにおいでみーちゃんダメ どこ行くのみーちゃんダメ 目を見てご

朝顔 – 折坂悠太

ねえ どこにいたの 窓辺には空白んで僕につげる 「また巡り逢うよ」と真新しい街に 海鳴りがきこえて手を振る誰かが 笑っているここに 願う 願う 願う君が朝を愛す

トーチ – 折坂悠太

街はもう変わり果てて光も暮らしもない夜にお前だけだ その夜にあんなに笑っていた奴は壊されたドア 流れ込む空気に肺が満たされてく 今何も言わないでお前だけだ あの

春 – 折坂悠太

確かじゃないけど春かもしれない確かじゃないけど春かもしれない留めておく手は ないかもしれないけど、波はたつその声を聴いたのだ確かじゃないけど春かもしれない確かじ

鶫 – 折坂悠太

海へ連れ立つあの渡り鳥は過ぎし春の暖かさを覚えてる揺れる葉のざわめき蜜の青い味急な雨に走る私空仰ぐあなた濡れた羽も乾かぬうちはばたけば雲の上にほらね ごらんよ夜

針の穴 – 折坂悠太

路肩の天使が 私に言うことにゃ程なくここらは 嵐の只中さそんなことわかってるから手綱持たしてくれよ今私が生きることは針の穴を通すようなこと強い風の吹く所で針の穴

安里屋ユンタ – 折坂悠太

君は野中の いばらの花か暮れて帰れば やれほんに引き止めるマタハーリヌ ツィンダラ カヌシャマヨ嬉し恥ずかし 浮名を立てて主は白百合 やれほんにままならぬマタハ

炎 feat. Sam Gendel – 折坂悠太

どうするつもりでいるんだろう今、動かずただ、ここにいるよ残されている手段がなくてなすすべなくただ、ここにいるよこの雨は続く この雨は続くこの雨は続く わけも言わ

星屑 – 折坂悠太

眠れぬ街 呼ぶ声を袖に早足で歩く あの子を迎えに優しい顔しないでいい ただ眠っててほしい 私を待たずに私を忘れて星屑や 光落とせよ街のひと隅 この子らのもとへ家

心 – 折坂悠太

例えばおれは、いつかの蜂それを思えば、ちょっとは笑ってくれるかな?以上です どうぞ例えばおれは、いつかの蝶それを思えば、ちょっとは笑ってくれるかな?以上です ど

悪魔 – 折坂悠太

日暮れの空に筆を投げて画家が行方をくらます夜運動場へ忍び込んで消石灰で君を書いた此れを咎めねば 戦争もかたなしさ雑木林うち捨てられた自転車たちが海を目指すたどり

鯨 – 折坂悠太

何かがここを通り過ぎたみたいだね最後まで見通せないとても大きな体で私のいる場所は巡る朝の顔の上命のいろいろはとても小さな口笛ちりんちりん自転車乗れた日に始まり帰

Back to top button