深呼吸 – 扇谷一穂

はれやかに　おだやかに　すこやかに鏡をみるとき　ほんの少し　にこやかにかろやかに　ゆるやかに　のびやかにあなたの前では　たまに　しとやかに目が覚めて　窓を開けて

私は　ずっと　待っていたのです春が　来るのを高く　空を飛ぶことを私は　ずっと　夢見ていたのですさなぎの中で自由な空に　あこがれたああ　風に乗るああ　花に舞い上が

涙が流れる美しいと思うどんな言葉よりも　深く深くでも　明日が来る普通の顔して朝の光は　もう　そこまで来た私たちは　いま物語を作る風に吹かれながら　終わりまでねえ

まぶたを閉じて闇を見る私の鼓動どきどき　どき　どどどどど仄かに　光ってる手をあててみる胸の奥私の鼓動どきどき　どき　どどどどど微かに　あたたかいいま　この瞬間は

私は　水の中にいて泳いでる話してる私のような　声と私は　ときどき　息をつぎ泳いでるかき分ける私のふりをした　声寄る辺のない　水の中を　たんたんたんたんと　進んで

手と手を　つないで目と目を　あわせてどこまでも行けるどこまでも二人であなたは　ゆっくりわたしは　せっかち話すスピードもぜんぜんちがう昨日は終わった明日はまだ来な

甘い　甘い　甘くして　いいの　いいの　いいの甘い　甘い　甘くしても　いいの甘い　甘い　甘くして　いいの　いいの　いいの甘い　甘い　苦いのは　もういいのそう　甘い