成世昌平

有馬湯女節 (湯入初め唄) – 成世昌平

枝も栄ゆる若緑 仰ぐにあかぬ
御代ぞ久しき
滝の白糸 いとしゅてならぬ
ゆるせ主あるわが片たもと
落葉山こそ名所なり
めでたし めでたし うちましょ
もひとつ祝うて うちましょ
お目出とうございます

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世外れおけさ – 成世昌平

笠は端(つま)折り 裾からげ時雨に追われて来た瞽女(ごぜ)よ鬢(びん)のあたりの白いのはもしや誰かの所為(せい)なのかあゝ 今更に 親不孝想い出させる エー 世

虎落の里 – 成世昌平

泣け泣けと 雪が呼ぶ 伊吹のこの里になぜ背を向けた故郷(ふるさと)捨てた訳は何あなたにとって恋は何答くれない 虎落の笛よヒューヒューヒューヒュー 宵から鳴るばか

ヤン衆哀歌(エレジー) – 成世昌平

小首を傾(かし)げて飲む癖のお前もやっぱり 他所者(よそもの)なのか港灯りの語り種(ぐさ)情けの継ぎ穂 探しかね出船の霧笛が泣いているあれは純情 ヤン衆哀歌(エ

あんたの里 – 成世昌平

母の涙を振り切って苦労覚悟で所帯をもった惚れているんだ 愛していると聞かず仕舞いの二年と三月でもね 相思相愛 そんな仲私のほかには なかった筈よ夕陽追いかけ飛ぶ

コキリコの里 – 成世昌平

雪を戴く人形山(ひとがたやま)に緑に浮かぶ 山桜他所(よそ)じゃ見れない宝物どうしてオレは捨てたのか涙の向こうに 見えるのは越中 五箇山 あゝ コキリコの里二人

はぐれコキリコ – 成世昌平

立山に両の掌合わせせめて便りが 噂が欲しいまだ未練たち切れないとなぜじれる越中 雪の湯の町でおんなが歌う あゝ はぐれコキリコ筑子竹二人で鳴らし想い焦がした十九

遠きふるさと – 成世昌平

夏の終りの花火を見上げ想い出すのは笑顔の君さ巷(まち)の暮しに目処さえつけば明日(あした)と云わず今すぐに逢いに行く 夜汽車に乗ってあゝ遠き ふるさとよわざと零

磯節キリキリ – 成世昌平

氷雨が窓打つ そのたびごとにやっとハイハイ  出来る児が親の手求めて 怯(おび)えちゃせぬかそれが気になり キリキリ胸が痛みます帰ろうか 帰ろうか磯節の聞こえる

貝殻恋唄 – 成世昌平

波の彼方に 隠岐の島飛魚(アゴ)が跳ねとぶ 日本海 日本海あぁ 恋しさに 涙が落ちる幾年(いくとせ)の 悔いを重ねて昨日今日想い出すんだ おまえと歌った貝殻節を

佃かたぎ – 成世昌平

逃げて来たのか この江戸に故郷(くに)は上方 浪花かいひと風呂浴びて 肩の荷降ろせ安心しろよ この土地はもとは摂津の佃島何が何して どうなった委細訊くほど 野暮

浪花なごり月 – 成世昌平

老舗の味は 若旦那さんの包丁さばきに まかせます気ままな男が 背中を向ける空に浪花の なごり月うけたお情け 返せぬままに旅をえらんだ 罰あたりアホやなぁ俺は……

風の盆流し唄 – 成世昌平

紅蓮炎(ぐれんほのお)に 落ちてもいいと泣いてすがった 坂の町 坂の町―恋の八尾(やつお)は―運命(さだめ)はかない 別れの路地をおわら流しが よぎって悲し八尾

しのび唄 – 成世昌平

女の夢と あなたの未来(あした)秤にかけて 泣いてます身を引くことは 倖せでしょか三味の乱れを 十六夜の月に聴かせる しのび唄あなたにいつか 解かれた帯が泣いて

雪大文字 – 成世昌平

この幸せが いつまでも続くといいねと 大文字の紅い炎に 言ったひと冬になったら また燃え上がる白いかげろう 雪大文字京都ああ京都あのひと 恋おんなさよならなしで

関宿しぐれ – 成世昌平

今日は関宿 あしたは他国否でも応でも ここから先は二つに別れて 夜船が下るひとつは江戸川 もひとつは男が旅立つ 利根川でアー 別れを惜しみ降る降る 降る降る し

喜望峰 – 成世昌平

出合い頭に赤提灯でどうせ飲むなら 好(い)い酒飲めと熱燗を注ぎ分けて 叱った女お前の優しさ 心に沁みた真っ暗闇の おとこの喜望峰灯りが見えた ほのかに見えた男一

哀愁線リアス – 成世昌平

ひとりお酒を注ぎ足す毎(ごと)に涙に染まるリアス線トンネルひとつ潜(くぐ)るたび沖の白帆が鴎に鴎に化ける小手をかざして あなたが云ったいいとこだろう 三陸は嫁ぐ

結いの心 – 成世昌平

この家(や)の娘が 婿取るらしい噂がこの夏ひろがった本家の隠居が気にかけてアチコチ知る辺に声を掛けたった半月少々で我が家の屋根が葺き替わるエンヤサ エンヤサ 日

甘えてエエねん – 成世昌平

せっかく 逃げて来たんやさかい「死にたい」なんて云うたらあかん上町やけど下町かたぎこゝには世話焼き 一杯おるで甘えてエエねん 遠慮せんでもエエねん生國魂(いくた

雪の宿 – 成世昌平

雪が舞う はらはら脅(おび)えあなたと これっきり逢えなくなる女の幸せ 捨てる気で駆け込んだ 夜汽車のガラス窓浮かぶよ 雪の宿あかり雪が舞う 急かせるようにあな

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