成世昌平

  • 銀河への道 – 成世昌平

    夕暮れの街はずれ 潮騒の音見上げればひとつ 宵の明星(みょうじょう)やがて来る 群星(むれぼし)を待つ人は皆星に 行く道をたずね願いをかけて幾千年我もまた 語り語られたどり行く 銀河への道 草木(くさき)さえ眠りつく 旅の宿にてひとり酒くみて ふくむ盃星明かり 影を落して散りばめた帯の 天の川見れば夢のかけらが幾千万我もまた 西へ東へたどり行く 銀河への道 七つ星みつめ 野の風をまとい人は旅立つ幾…

  • あんちゃん – 成世昌平

    どこまでも青く 澄んでた空と山や川ふるさとは 変わってないか今や親もなく 遠くなった家大の字に寝ころんだ青畳たまには帰って来いというああ あんちゃん 兄貴のやさしさが染みてくる 日暮れ刻(どき)聞いた 松風の歌家路へと急がせる 夕焼け小焼け幼な友達も 便りとだえがちふるさとが少しずつ逃げてゆくせめての救いは気兼ねないああ あんちゃん 兄貴の日焼け顔なつかしい 旅立ちの朝に いつだって帰るこの家があ…

  • 雪折れ竹 – 成世昌平

    竹がナー 竹が竹がポンと鳴りゃ 夢から覚めるあれは裏山 雪折れ竹よ夜更けに浮かべる 面影は遠い都会の あなたの姿…北風に背中丸めて いやせぬか人生(みち)に迷って いやせぬか オーホホイ 竹はナー 竹は竹は一途な 女の想いつらくないのか 雪折れ竹よ必ず迎えに 来るからと今も聞こえる あなたの言葉…つまずいて明日を失くして いやせぬか酒に溺れて いやせぬか オーホホイ 竹もナー 竹も竹も泣くのか さ…

  • 三味線波止場 – 成世昌平

    女の未練は トチチリチン涙払って チントンシャンエー切ないね 沈む夕陽に カモメの影絵噂たよりに 着いた港まち逢ってどうなる ものでもないが三味線(しゃみ)を抱いての 探し旅「お客さん 一曲いかがです」流して歩く エー面影波止場 海の男の ぶ厚い胸で知ったぬくもり 忘れられなくてせめて教えて 別れの理由(わけ)を三味線(しゃみ)も泣いてる 演歌節「お客さん 一曲いかがです」潮風(かぜ)さえむせぶ …

  • 三十石船哀歌 – 成世昌平

    紅い灯点る 堀江の新地掘割上れば あの人の船唄聴こえる八軒家夜毎に夢みる徒枕今日も濡らして来し方想うあれから五年経ちましたヤレサ 三十石船(さんじゅっこく)は淀川の川面に何を映すやら 造り酒屋の下働きに十五で出されたこの私(うち)に誰より優しくしてくれた兄(あに)さんみたいな人やからそれが馴初め 初恋やった船頭さんに惚れたのはヤレサ 三十石船(さんじゅっこく)の船唄に想いを寄せた訳じゃない 父(お…

  • トンカラリン – 成世昌平

    春まだき 桜の蕾まだまだ固い寒い朝ちょうど二十歳のあのひとは白い歯見せて出ていった下駄を投げたらトンカラリン トンカラリン何度投げても 裏ばかり 二年目に 届いた便り達者でいると 書いてある花の都の東京でまぶしい夢は掴めたか下駄を投げたらトンカラリン トンカラリン今日も気になる 裏ばかり 音沙汰が途絶えて二年よくない噂 聞かされた蒼い顔して行き暮れて夜空を仰ぎ 吠えてたと下駄を投げたらトンカラリン…

  • 小田山だるま音頭 – 成世昌平

    小田山たのし 田んぼがつづくまわるドーナツ 青い空 あ、それやそれやそれやおどるダルマが 転んでころころりんあ~ よいしょ~ こらしょ どっこらしょ~ 温泉うれし 浴衣の夕べくるり円ばん 月も出る あ、それやそれやそれやうたうダルマが まわってころころりんあ~ よいしょ~ こらしょ どっこらしょ~ 小田山さくら 山々かざるあついお皿が 刻む夢 あ、それやそれやそれやわらうダルマが 音頭でころころり…

  • 百日紅 – 成世昌平

    遠い遠い遠い日を想いおこし泣いてる好きだよと云えないで背を向けていたよ「終りにしましょ始まるものが何もないから」そんな筈はないけれど罪の重さ 深さに頭(こうべ)垂れ 咲いていた百日紅目に浮かぶ 今も今も今だって忘れられず夢みるふるさとの駅頭でサヨナラを云った「元気でいてねたまには便り書いて下さい」きっと出せと云いたげに風に我が身揺らして訴える八月の百日紅目に浮かぶ 風に風に風に聴く想い人の身の上年…

  • 乙だね – 成世昌平

    空にひと筋 はぐれ雲相棒どうした 淋しくないか男やもめの このオレと差しでいっぱいやって行かないか乙だね 酒はワインのとって置き肴はアイツの里(さと)のホッケのひらき乙だね なんて云うのは痩せ我慢 馬鹿を承知で故郷(くに)を捨て俄か思案の東京ぐらし『惚れている』とも『好きだ』ともたった一度もいわず仕舞いだよ乙だね 古武士みたいに恰好よく寡黙な男といつも女房に見せた乙だね なんて云うのは痩せ我慢 北…

  • 因幡大黒舞 – 成世昌平

    エサー 大黒舞を見っさいなさて目出たいな 大黒舞 エサー 始まる月の元日(ついたち)に孫子に伝わる泉とし<アドッコイ>扇に紙を相添えて 末広がりと 祝いますとやさて目出たいな 大黒舞 エサー お百姓さんは春は三月 荒田を起こして苗代ごしらえなされます<此方さんにもなされます アドッコイ>ヤットマカセといいしなに大黒さんが鋤取りで<アドッコイ>恵美須さんが鍬取りで七福神さん勢揃い<アドッコイ>六石六…

Back to top button