愛田人生

おふくろの影 – 愛田人生

親孝行 したいときには いないもの
老いを隠せぬ もつれる足で
京都・大原・三千院
たった一度か 手を添えて
あれが最後の あれが最後の
おふくろだった

他人のふり 見てといつもの たとえ癖
そんなおまえは 我が家の恥と
世間知らずの 哀しさよ
きつい母親だと 恨んだが
強く優しい 強く優しい
おふくろだった

この歳に 何も芽の出ぬ 男だが
耐えて忍んで 力の限り
恥じることなく 生きて来た
誰のおかげか 目をとじりゃ
握るコップに 握るコップに
おふくろの影

おふくろー!

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