平田京子

  • 紅の橋 – 平田京子

    かたく結んだ 帯紐(おびひも)をあなたの情けが ほどかせた儚(はかな)い夢です この恋は知っていながら 逢いたくて今夜も渡る 紅の橋 一夜一夜(ひとよひとよ)を 重ねたら運命(さだめ)の向こうへ 行(ゆ)けますかどなたの元へも 帰さないそんなわがまま 言えなくて唇かんで 紅をさす 白い障子を 染めながら夜明けが別れを つれてくる縋(すが)ればなおさら つらいからたぎる胸の火 ため息につつんで流す …

  • 天草恋唄 – 平田京子

    風のうわさを 鴎に聞いてあなた探して 港駅離れて知った この愛は天草灘(なだ)の 海より深い三角(みすみ) 大矢野(おおやの) 中(なか)の橋(はし)縁(えにし)つないで 縁つないで もういちど 言葉少ない あなたのこころ見失ったの 悔やみます嵐のような 憂(う)き世(よ)ならいたわり合って 暮らしてみたい崎津(さきつ) 大江(おおえ)の天主堂(てんしゅどう)縁つないで 縁つないで もういちど き…

  • ほほ笑み月夜 – 平田京子

    苦労したぶん 深くなる夫婦という名の まるい縁好いて好かれて 好かれて好いてふたりしみじみ 猪口(ちょこ)傾けりゃ月もほんのり ほほ笑み月夜 惚れているから 妬(や)きもしょう命もかけます ゆるします泣いて泣かれて 泣かせて泣いて生きて行きましょ 不器用どうし肩を寄せ合う ほほ笑み月夜 きのう北風 きょうは凪(なぎ)明日は吹きます 追い風が運も不運も 不幸も幸も春夏秋冬 ふたりでひとつ満ちてうれし…

  • りんどうの宿 – 平田京子

    そえぬ運命(さだめ)を なげくよりいっそ散りたい その胸でいいの 明日は いりませんこぼす吐息が うす紫に泣いて咲きます 泣いて咲きますりんどうの宿 今宵一夜(ひとよ)が 一生と決めた女の 胸のうちそうよ 憂き世は 忘れましょう遠くまたたく 湯の町あかり月も濡れます 月も濡れますりんどうの宿 別れ上手を 演じればしめる博多の 帯が泣くわたし 最後の 恋でした着せた上着を もいちど脱がせすがりつきた…

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