己龍

  • 百鬼夜行 – 己龍

    化けの皮を編み継ぎ接ぎ繕う 偽りの笑み 右習え右ちょん切られてのたうち回る 本音を語る舌は蜥蜴の尾 手枷足枷 緊縛の命 ちらりほらりと揺れる灯宵に漂うは闇の藻屑 道連れの果ては徒然と ぞろぞろり だらだらり 頭の中を蟲が這う ぞろぞろり だらだらり 掻き毟る爪に喰い込んだ蠢く迷い 何を追い何を求めて何に縋り付くのかそれが見えぬまま、解らぬままに歩み進むは百鬼夜行さんざめく祭囃子に心の臓が泣き叫ぶ嘘…

  • 彩 – 己龍

    枯れ木に花を咲かせ 艶の十五夜を彩る飄に舞踊る 現忘れ塵芥 幼子口遊んだ「あそびましょ」大きな鳥居の下 また待惚け 手を叩けど空の谺 名を呼べども凪のふわり戯れるは宵の随に 蟲の音誘う頃 枯れ木に花を咲かせ 艶の十五夜を彩る飄に舞踊る 現を忘れて夢の終わりが来れば 独法師の始まり白く焼かれて消えた 東の空に 後ろ指を指し笑う人幼子は何時も面の無い人とかくれんぼ「あそびましょ」一つ 二つ 三つ 四つ…

  • アマテラス – 己龍

    口をついた偽り一つ その小さな音は語れば脆く 崩れる耄碌 故に優しい調べ追えど然れど届かぬコノ手 払えぬ枷は嘘欺くが故 嘲り歌舞く 真は闇へと消ゆ 喜劇の様な悲劇を舞い踊れば喝采 見て見ぬ振りをし続けていても痛い痛いと泣き叫ぶ心涙が頬を伝わぬ様に見上げてみれば 天は今もアノ日のまま 変わる事無く鈍色模様然れど愛は夢を紡ぎ 夢は天を仰ぎ見て笑う泣かぬ様にと食縛れど 頬を濡らすは鈍色模様夢は未だ霞の中…

  • 阿吽 – 己龍

    箱庭 虚無の随に 偽りそれもまた真吊るされた髑髏の様に何も語らぬ傀儡の窟 何かを求める事で何かをかなぐり捨てて何かを得た筈の掌の中 そこに何を求めたか… さあ始めましょう 雄叫びを上げ 奈落を見つめ 歩めば刹那さあ終わりましょう 潰れ弾けて私が消える 常世へと 弄る底は虚無の闇 落ちて 堕ちて 墜ちて 思い知る… これが「阿吽」 寄ってらっしゃい 見てらっしゃい 私に向いた好奇の目がどうぞご賞味ご…

  • 心中歌 – 己龍

    さぁ逝きましょう 手と手を合わせて暇乞い徒然にさえ思い耽るのは在りし日と… 死を見つめ頬を伝うのは外連の未練日捲りのくだん 啼くは鬱浮の宵 声に耳を研ぎ澄ませば…ほら 血巡りの管が脈を打つ さよならを歌いましょう いついつまでも離れぬ様に愛を貪り尽くし 情死を賛美さよならを歌いましょう いついつの日か巡り逢う様に哀を貪り尽くし 情詩を賛美 「心中歌」 吊るされて垂れ流す腑焼かれて撒き散らす芥刻まれ…

  • 盲 – 己龍

    極彩に眩む光瞼を縫い付ける羅列の綴りを綴り這いずり廻る舌 蠢いた 軋む頭蓋が犇めく琥珀に嘔吐き戻し臥した肌は灰に埋もれ針の音の跫が呻き 斑に蝕む黒点が 佳景を侵食してゆく翳す掌は 軈て黒い陽に呑まれ 瞼裏を灼いた 盲目の煉獄に腐ち糜爛れる紅れ没む喪失に叫声は捻れて掻き毟る膿の狂う滲みが故に 底無き底 極彩に眩む光瞼を縫い止めた眼窩の奥を這いずる尖り嬲る舐り 濡れる舌 剥離する色彩が褪せて 白い闇に…

  • 鉢特摩ヨリ – 己龍

    輪廻に巣喰う 稟性わろきにて嗤ふ虚を描き 私怨を追ってまた狂い人 あー。 愉悦へ流るる 言の蜚語虚仮にして嗤ふ二つの舌に踊る顔に 素知らぬ顔 朔より天意そぐいし者が三瀬に浮かび渡る 戯言に舞う群 戴冠過ぎし 紅き蓮を召しませふこれぞ天来の終 招きの焔井蛙に生しひとを害う者 禍福は…と問う後の祭 それでも人として あらぬ 揺れし惑れし 蜜に酔い禍なきと嗤ふ呻く声が近づい‥「ほら、つかまえた」 朔より…

  • 九尾 – 己龍

    飢えを忍び肥えた愛に舌舐めずり 一つ二つ巡る刻を指折り数え幼い姿 孕む色欲 蜜に塗れ 雲の隙間、月が見せたその虚は 九つに裂けた嘘の影 飢えを晒し現抜かす月を喰らい 一つ二つ薄れ翳む嘘の影幼い姿 孕む色欲 蜜に塗れ 愛の堕胎 憂き身窶し 尚々 貪り続けても満たされぬ腹 今宵は宴なり 炮烙の晩餐に酔え今宵は宴なり 笑い踊り狂えよ 尾を靡かせてひらりと舞えば 麻具波肥は宛ら獣の如く白濁の海は恍惚の夢 …

  • 泡沫 – 己龍

    慾を覗くは無垢なる虚 妖し影ろふ白絹の袖 月影の煩悩に成り合わぬ華々は開き絡み合ふは胡蝶の舞 刹那の海に遊び戯れの冥闇は重なりて 此処まで御出で乱れひらひら 下弦の月 夭夭と揺れる 常若 舐れば花弁綻び 極楽浄土へ誘う宴常宵 開けば浮き立つ鬼灯 艶めく化粧 悦楽の笑み 丑三つ時から始まる恋は雷魚の舞にて狂い出す潮の香りだと心得違えば魔性の最中宝と蛾眉の誘惑に浮かれ老婆の謀に堕ちて浮世離れした愉悦快…

  • 日出ズル國 – 己龍

    言の葉 目隠し 空白の声 音は無い心の臓 目隠し 漆黒の声 光は無い 泪に溺れた千代に八千代に 音は無い泪が枯れても千代に八千代に 光は無い 骨の悲鳴を喰らい飲み込め肉の悲鳴を喰らい飲み込め 翳し仰ぐその手は何を掴むか…現の闇に塗れ揺れて流れ淀みに藻掻く掌己が命を賭して 諸行無常 邯鄲の夢 流転の暁を 骨の悲鳴を喰らい飲み込み、その声に耳を傾けろ肉の悲鳴を喰らい飲み込み、その目を背ける事無かれ 死…

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