川野夏美

夜桜しぐれ – 川野夏美

三日限りの みちのくの
旅も最後の 北泊り
弘前 津軽
傘はいらない 夜桜しぐれ
この世で添えぬ 恋ゆえに
花も見せるか 貰い泣き

連れて逃げての ひと言が
なんで言えない 意気地なし
弘前 津軽
弱い女に 夜桜しぐれ
飛礫(つぶて)のように 花びらが
払い除けても 頬を打つ

七日桜と 言うように
きっと今夜が 咲き納め
弘前 津軽
肩に降る降る 夜桜しぐれ
二人の夢が 散り急ぐ
かけらみたいで 辛くなる

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寒ぼたん – 川野夏美

雪の白さに 逆らうようにひと色紅く 咲いた花世間の風は 冷たいけれど震えるおまえの その肩をきっときっと守るよ この俺がひと冬枯れるな… 寒ぼたん夢にはぐれた 

北海子守唄 – 川野夏美

雪が吹雪(ふぶ)いて 流氷寄せりゃ二ヶ月(ふたつき)漁には 出られないあのひと都会(まち)に 出稼ぎに陸(おか)で冬越す ホッケ船ねんねん ねんねこ ねんねしな

かすみ草をください – 川野夏美

春雨は 誰にでもおんなじように 降るのにねどうしてよ 私には心に 降りしきる夕立を よけながら相合傘を さすけれどいつからか あの頃のあなたは もういないあゝ捨

十字架の海 – 川野夏美

あなたあなたは 知っていますかひとり旅する 日向(ひゅうが)岬に恋の願いを 叶えてくれる神秘の海が あることをあゝ十字架(クルス)の海よ この想い愛する男性(ひ

初雪前線 – 川野夏美

初雪前線 今年も聞けば涙が頬を 走ります東京に雪が 初めて降ったあの朝駅で 見送ったひとあゝあれがふたりの お別れなんてあれから時間は 止まってる寒い…恋しい…

花はこべ – 川野夏美

風に吹かれて 散り急ぐ花を見てさえ 涙ぐむごめんよ…倖せ やれなくて思わずこの手で 抱き寄せりゃ白いうなじが 震えてたおまえは俺の おまえは俺の花はこべ夢を見さ

残波の月 – 川野夏美

ユウナの花びらが 風に運ばれて月に照らされてる 波にゆれてますあなたは 今どこの町三線(さんしん)の響き 聞こえますかこんなにせつなくて こんなに逢いたくてこの

女の空港 – 川野夏美

幸せすぎた 時間は過ぎて別れが近づく 空港ロビー今のあなたは 東京のひとむかしと違うわ どことなく帰らないで… 行(ゆ)かないで…遠い遠い あの都会(まち)へ…

夢割酒 – 川野夏美

キープボトルの あなたの名前やせた小指で またなぞるひとり枕じゃ 寝付かれなくていつか覚えた 酒の味夢の破片(かけら)を グラスに入れて苦さ薄める 夢割酒よ私な

北津軽 – 川野夏美

ちらちら風花 舞い散る峠姉サ馬コでヨー シャンシャンお嫁入り姉サ泣いたら わたしも泣ける手綱(たづな)持つ手が また濡れるヨーハイハイトひゅるひゅる雪ん子 あの

悲別~かなしべつ~ – 川野夏美

人には何故 別れがあるの深く深く 愛されていたのに私はもう 誰も愛せないあなただけが 生き甲斐だったからここは悲別(かなしべつ) 北の悲別あなたに帰る 汽車は来

おんな大漁船 – 川野夏美

度胸七分で 器量が三分負けずぎらいの 浜育ちカモメが騒ぐ それ曳け網を赤い合羽は 漁場の花さ負けてたまるかヨ おんな大漁船おれが好きかと あんたが言った喧嘩する

恋文草 – 川野夏美

恋する泪(なみだ)が こころに落ちておんなは花に なるのです想いを伝える 術(すべ)もなく夜露に濡れて 月をみる恋文草の 花言葉あなたの あなたの胸で咲きたいの

雲母坂~きららざか~ – 川野夏美

ふたりが出逢って 愛した街をひとりで歩けば せつなくて人影まばらな 公園通り恋しい名前 呼んでみたあゝ忘れない あゝいつまでも貴方のやさしさ あの微笑みを想い出

びりけつのジュン – 川野夏美

路面電車飛び乗ったり柿の実盗(と)って怒られたり子供の頃悪戯(いたずら)したけど叱られるのはびりけつのジュン焼け野原の町に帰って来たのも終戦を随分過ぎてから亡霊

お茶の水 – 川野夏美

神田川(かわ)の上を 電車が横切(はし)り向こうに見える 聖橋(ひじりばし)お茶の水に 来るたびにあの日の恋が 甦(よみがえ)る照れ屋なあなたは 遠くから私をい

冬の月 – 川野夏美

愛しては いけないひとと愛しあうのも 人の常生きるか死ぬかと 聞かれたら生きるこの道 選びますわたし賭けたい この恋に貴方もこころを 決めて 決めてくださいしん

サヨナラ桟橋 – 川野夏美

さよならね… さよならね…あなたさよならね…この船は夜明けには 海峡出て行くわ好きだよと打ちあけた 祭りの夜のやさしい言葉くちづけを きっと忘れずに帰ってね… 

大空と大地の中で – 川野夏美

果てしない大空と 広い大地のその中でいつの日か 幸せを自分の腕でつかむよう歩き出そう 明日の日にふり返るには まだ若いふきすさぶ 北風にとばされぬよう とばぬよ

恋人よ – 川野夏美

枯葉散る夕暮れは来る日の寒さをものがたり雨に壊れたベンチには愛をささやく歌もない恋人よ そばにいてこごえる私のそばにいてよそしてひとこと この別れ話が冗談だよと

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