岡晴夫

南京の花売娘 – 岡晴夫

みどりの光よ たそがれよ
呼べば来る 花篭さげて
純な瞳よ 南京娘
花はいかが 嬉しい花 楽しい花
ゆれてほのかに
涙ぐむよな 花のいのちよ

流れの画舫(がぼう)よ 夕月よ
水に散る うたげの夢に
濡れるまつ毛よ 南京娘
花はいかが 優しい花 悲しい花
白いジャスミン
すすり泣くよな 花のこころよ

乙女の匂いよ 茉莉花(まつりか)よ
空に照る こがねの星に
何をささやく 南京娘
花はいかが 愛(いと)しい花 あなたの華
雨も降らぬに
ほろり散るよな 花のすがたよ

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男一匹の唄 – 岡晴夫

赤い夕陽は 砂漠の果てに旅を行く身は 駱駝(らくだ)の背中(せな)に男一匹 未練心はさらさらないがなぜか淋しい 日暮れの道よ昨日ラマ塔の 花咲く影でチラと見た娘

途中下車 – 岡晴夫

更けて淋しい 夜汽車の窓を雨よ叩くか 切ない胸に何で忘れよ何で忘れよ あの日の夢を君はやさしの 湯の町つばきままよ今宵は 港の町に途中下車して 人目をしのび語り

幸福はあの空から – 岡晴夫

黄昏の並木路ひとり見てましょう淋しさに 恋しさにひとり窓辺で見てましょうやがてつく 街の灯が暗い心を 照らして 照らして来る来る 来る来る来る 来るよ幸福(しあ

港のエトランゼ – 岡晴夫

流れ流れて たどりつく知らぬ港は 青い霧もっとお寄りよ 淋しじゃないかどうせ故郷にゃ 帰れぬ二人俺もお前も エトランゼ抱いたギターを 爪弾けばすすり泣きする い

二人のパラダイス – 岡晴夫

プラチナの 陽をうけて高鳴る胸よ はずむ若さよ足取りも 軽やかに丘を越えて行こう 行きましょうあゝ 君の空 僕の空晴れて嬉しい 二人のパラダイスあこがれに バラ

船は港にいつ帰る – 岡晴夫

風の便りも 二月三月絶えて聞かねば 尚恋し想い出すほど 逢いたさ見たさ船は港に いつ帰る啼くは千鳥か 夜更けの頃は夢も涙に 濡れて散る独り明かせば 瀬音もかなし

男のエレジー – 岡晴夫

街の灯影に 背中を向けて一人ふかした 煙草のにがさ渡る世間を せばめてすねて生きる男の 身のつらさこんなやくざに 誰がした義理と人情の 渡世に生きて酒と喧嘩に 

あんこ可愛いや – 岡晴夫

赤く咲いても 椿の花はほろり落ちそで 落ちぬとさあんこ可愛いや 紅椿どこのどなたにどこのどなたに 落ちる気か島の御神火 燃えたつ夜は胸に思いを こがすとさあんこ

涙の小花 – 岡晴夫

雨の降る夜の 紅花黄花何を嘆くか 肩よせて儚い恋に 身をやつす女かなしや 涙の小花むりに笑えば なおなお辛い別れ小径の 曲り角諦めながら 泣きながら女かなしや 

東京の空青い空 – 岡晴夫

鳩が飛び立つ 可愛い可愛い鳩が東京の空 青い空喜びの 鐘が鳴る若い口笛 吹きながら柳さらさら 銀座の街を君と歩けば 明るい心風がそよ吹く 緑の緑の風が東京の空 

港ヨコハマ花売娘 – 岡晴夫

赤いテールが にじんでとけて消えてバンドへ ゆく石だたみ海のかおりを 夜風が運ぶ花を召しませ 召しませ花をいとしあの娘はああ 港ヨコハマ 花売娘今宵一夜を なご

男の涙 – 岡晴夫

夜の裏町 流して更けて男泣かねど 散る涙せめて唄おかあゝ せめて唄おか 切ない胸を柳落葉の あの角で旅の楽屋は 只さえ淋し抱いたギターよ 何を泣く云えぬ思いをあ

東京シャンソン – 岡晴夫

あの娘(こ)スターか ニュー・フェイスか初恋の 淡き夢 面影の浮びくる 柳影月も泣く 若き日よあゝ ロマンスの 花咲く都東京あの夜別れた ネオンまたたく胸に散る

港に赤い灯がともる – 岡晴夫

暗い空だよ きらりと光る切れたテープか 鴎の鳥かあゝ 港に赤い灯がともりゃ残る未練の すすり泣き今日の出船は 東か西かドラがしみこむ 俺らの胸にあゝ 港に赤い灯

花の広東航路 – 岡晴夫

南国の 青い空赤い夕陽の 珠江(シュコウ)の流れ進む汽船の デッキの上で語るクーニャン まりほの匂いドラも鳴ります 花の広東航路花塔(ホワトウ)も たそがれて霞

パラオ恋しや – 岡晴夫

海で生活(くら)すなら パラオ島におじゃれ北はマリアナ 南はポナペ島の夜風に 椰子の葉揺れて若いダイバーの 船唄もれる島へ来たなら ダイバー船へお乗り男冥利に 

国境の春 – 岡晴夫

遠い故郷は はや春なれどここはソ満の 国境(くにざかい)春と云うても 名のみの春よ今日も吹雪に 日が暮れて流れ果なき アムールよペチカ燃やして ウォッカ汲(く)

憧れのハワイ航路 – 岡晴夫

晴れた空 そよぐ風港出船の ドラの音愉(たの)し別れテープを 笑顔で切れば希望(のぞみ)はてない 遥かな潮路あゝ 憧れの ハワイ航路波の背を バラ色に染めて真赤

南の島に雪が降る – 岡晴夫

南海の果て マノクワリ孤塁を守る 我が部隊故国へ繋ぐ 一筋の思いをこめし 演劇班あゝ 南の島に 雪が降る南の島に 雪が降る病に細る 首もたげ食い入る如く 見る瞳

上海の花売り娘 – 岡晴夫

紅いランタン ほのかにゆれる宵の上海 花売娘誰の形見か 可愛い耳輪じっとみつめる 優しい瞳あゝ 上海の花売娘霧の夕べも 小雨の宵も港上海 花売娘白い花籠 ピンク

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