山本美絵

ふたりのり禁止 – 山本美絵

喫茶店にも居疲れた
会計済ませて帰ろうか
閉店間際でかたずけの音がする
その咳払いは帰れってことか

帰るには充分に暗い
君は待ってんだろうか
おまわりさんが二人並んで
自転車ゆらゆらパトロールか

なんか、楽しそうだなぁ…
何 話てんだろ げらげら笑って
あれは 一種の ふたりのり

いつからだろう 君を後ろに乗せなくなったのは
ただ 走ってるだけで 笑いころげてた
どこだったろう あの自転車を 置き忘れたのは
忘れた。

部屋に入ると君はねっころがって
テレビを見て振り向きもしない
確かに 前に話していた様な
ドラマみたいな暮らしじゃないか

「なんか、楽しい事ないかなぁ」
あくびまじえて言う君はゲームに夢中
夢中なのに楽しくないのか?自転車でも―
そして 一緒に ふたりのり

いつかのよに また二人でおまわりさんに怒られようよ
まだまだ君を乗せたって30k位は出せると思うし、
たまに急ブレーキかけてみたり 蛇行したり
でも坂道になったら ちゃんと降りてね 交代で押してよ

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