山崎ハコ

  • 横浜から – 山崎ハコ

    横浜から来ました女の子です初恋は鴎にさらわれました港の匂いをかいでることが悲しくなって来たのです長い髪がけだるそうなら切ってしまってもいいのです刺青していた船乗りさんから貰った指環も捨ててしまいます 横浜から来ました女の子です変わり者なんだといわれてました人間ぎらいで おしゃべりぎらい港が好きでいたのです黒い服がかなしそうなら白に変えたっていいのです刺青していた船乗りさんから習った歌でも捨ててしま…

  • 上級試験 – 山崎ハコ

    自分を捨て他人のために役立ちたいたとえ 一生は貧しいままであっても狭い家に住んでも誇りというあかりがあるから心が沈むことはない 誘惑をふり払い欲望を押し籠(こ)めてつまらぬ人だと云われても胸をそらして笑っている そういう人にわたしはなりたいそういう人にわたしはなりたい こういう世は愚かなほどにマジメがいい変わり者だねと指さす人がいたって派手な友に会っても自信というオモリがあるから心が揺らぐことはな…

  • オルゴール – 山崎ハコ

    あらくれに 不似合いのオルゴール真夜中に鳴らして眠れば 夢見る 懐かしい愛を育てたあの頃を都会で拾った 小さな物語オルゴール オルゴールきみの忘れもの まごころに 訴えるオルゴールこの胸に響いて思えば すべてが いとおしい嘘のつけない純情も愛だけ信じた いちずな恋心オルゴール オルゴールきみの忘れもの 水割りに よく似合うオルゴールほろ酔いに誘ってしのべば 心が すすり泣く少女みたいな面影に突然姿…

  • 追いかけて春夏秋冬 – 山崎ハコ

    彼岸を過ぎて 九日十日桜の上に 雪が降る宿の小窓を開けて ためいき待てといってた あなたを待ちながら追いかけて 追いかけて 春夏秋冬春は東京にだまされる あなたの傘を 開いて乾してどうやら梅雨も あけたよう死ぬの生きるの 抱いて抱かれた重い心も 今日から軽くなる追いかけて 追いかけて 春夏秋冬夏は金魚と遊びたい 春から夏の 激しさ去って秋風 胸にしみる頃赤い紅葉(もみじ)の色に染まってひとりわたし…

  • いま美酒をてのひらで – 山崎ハコ

    いま 美酒をてのひらであたためながら ゆらりゆらり過ぎた昔 とどまるこの日そして おぼろな未来も想う 人恋し 君恋し 夢恋しくちびるふれた 乙女の匂いまた よみがえる 青春はきらきらと人生はしみじみと琥珀色した 美酒飲めば泪も ひとしお熱くなる いま 美酒を鼻先で揺らして眠る とろりとろり肩を抱いて 語った夜とそして 儚くこわれた朝を 人恋し 君恋し 夢恋しいとしきひとの 恨みの言葉まだ 消え残る…

  • UFOを待つ冬の窓 – 山崎ハコ

    木枯しが吹き雲がちぎれて飛ぶときおり月光が驚いたように光るぼくはひとりの部屋にいて寒くてならないのに窓を開ける誰かと話したい誰かを呼びたいいやいや ぼくは打ち明け話をするとUFOを待っている今夜こそ 冬の窓今夜こそ 冬の窓 ラジオが乱れノイズばかりになる街中灯が消えてあちこちで人が騒ぐぼくは窓辺で手を振って恐くてならないのに期待してる願えば叶(かな)うのだ思えば そうなるそうそう ぼくは今では本気…

  • 夜の日傘 – 山崎ハコ

    さよならといえよ 夜のパラソルなにに恋して なにを失くしたのすてるものは 思い出だけでじゅうぶんなのにくるくるまわれ 夜のパラソルそしてここに 春を呼んでこい夜に春を 呼んでこい さよならはいやか 夜のパラソルさみしくないさ ひとりきりでもやがて桜が わたしのココロにふってくるだろうくるくるまわれ 夜のパラソルそしてここに 春を呼んでこい夜に春を 呼んでこい くるくるまわれ 夜のパラソルここに春を…

  • きょうだい心中 – 山崎ハコ

    国は京都の 西陣町で 兄は二十一 その名はモンテン妹十九で その名はオキヨ 兄のモンテン 妹に惚れて これさ兄さま 御病気はいかが 医者を呼ぼうか 介抱しようかそこでモンテン 申すには 医者も要らなきゃ 介抱もいらぬ わしの病気は 一夜でなおる 二つ枕に 三つぶとん一夜寝たなら 病気がなおる 一夜頼むぞ 妹のオキヨ 言われてオキヨは 仰天いたし 何を言いやんす これ兄さまへわしとあなたは 兄妹の仲…

  • LOCO-MOTION, FARMER – 山崎ハコ

    古い車が止まった 良く言えば時代物ラジオしかついてないねジリジリ言ってるよラジオ切ってもうるさい ポンコツってやつだねかわりに歌ってやるって あなたが口ずさんだのLOCOMOTION, motion, motion, ちょっといいね あなたはつなぎを着てる 良く言えば時代物頭の中でFarmerって言葉が鎮座ますめかしこんで来たのに バカバカしくなるねこれが最初のデイトで たびたび聞かされたのLOC…

  • 2011子守唄 – 山崎ハコ

    雪が降る 水辺に 雨が降る 野の花に山が 海が 川が 空が 泣き出しそうな今の世に 淋しくて 恋しくて 今は遠いあなたに会いたくてねんころり ねんころり 淋しさなんかに 負けるなよ 思い出は大事に あこがれは いつまでも夢が 恋が 人が 愛が かすまぬように祈ろうか 歌うのさ 心から やさしかった自分に戻るようにねんころり ねんころり 一人っきりだと 思うなよ せつなくて くやしくて 木枯らしの心…

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