山口瑠美

海蛍 – 山口瑠美

暗い波間に 漂(ただよ)いながら
誰をさがすか 海蛍
砂に消え行く 波音が
女の心を また泣かす…
あなたにあなたに 愛されてると
信じていたのは 私だけ
涙ほろほろ 哀しみ抱いて
ひとりたたずむ 夜の海

恋にはぐれた 涙の色か
青くきらめく 海蛍
戻るあてさえ ない人を
待つのは愚かな ことですか…
二人に二人に 別れが来ると
知らずにいたのは 私だけ
潮風(かぜ)にゆらゆら 乱れる心
少しあなたを 怨みます

あなたにあなたに 愛されてると
信じていたのは 私だけ
夢も散り散り こぼれて落ちて
ひとりぼっちの 夜の海

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母便り – 山口瑠美

夜ふけにひとり 膝を抱き母の手紙を 読み返す身体を気づかう 便箋の文字が涙で またにじむ母さん 母さん お母さんそのうち一度 帰ります家族のことが 一番でいつも

名残り月 – 山口瑠美

夜通し鳴いてる 虫の声せつなくしみます この胸に眠れぬままに ため息つけば幸せひとつが 恋しくて…愚かでしょうが 待つなんて窓に涙の 名残り月あなたの哀しい 裏

北しぐれ – 山口瑠美

糸より細い あなたの噂頼りに海峡 越えて来た黙って消えた その理由(わけ)を逢って聞きたい あなたから逢わせて下さい 今度こそ涙しぐれる 北の町あなたが通う 港

幸せ一歩 – 山口瑠美

人に踏まれて道端に咲いてる花の いじらしさいつも笑顔で 生きてたら巡り合うでしょ 幸せに一歩づつ 一歩づつ歩いて行きます心ひとつに 重ねてもいつかいつしか すれ

花の夜 – 山口瑠美

心が安らぐ 人がいる窓に飾った 月見草こんな日が 夢でした幸せしみじみ 交わす酒たとえ出会いは 遅くても二人咲きます 花の夜私を待ってる 人がいるそれを信じて 

雨の錦帯橋 – 山口瑠美

人目があります 橋の上目と目で別れを 告げた人かすむあなたの うしろ影涙連(つら)なる 雨の 雨の錦帯橋(きんたいきょう)つらい噂に 流されて消えて儚(はかな)

音頭「水戸黄門」あゝ人生に涙あり – 山口瑠美

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晩春歌 – 山口瑠美

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長編歌謡物語 至高の王将~三吉、小春の物語~ – 山口瑠美

苦労升目は八十一の 命削った端切(はぎれ)坂女房子供にゃすまないけれど 退くに退けない端歩(はしほ)突き将棋の鬼と世に謳われた 王将坂田三吉と女房小春の物語千里

寿宝船 – 山口瑠美

赫(あか)らむ頬を コートで隠し嫁入り船に 乗るあの娘いいね いいね 今日からあのひとをうちの人って 呼ぶんだねおめでとうおめでとう よかったね寿宝船何にも持た

臥龍梅 – 山口瑠美

永い年月 生き抜いて地を這う花の 臥龍梅(がりょうばい)苔むす幹は白壁の 白壁の陰で静かに背を丸め地面に向かい 咲いている耳を澄ませば 聞こえますやさしい父の 

呼子舟唄 – 山口瑠美

呼子の雨は しみじみと旅のおんなの 肩に降る呼子舟唄 連絡船よ玄界灘の 雨(あめ)すだれさぞやつらかろ お前にも七日と七夜 泣き腫らしひれふり山の 石となる呼子

行合橋 – 山口瑠美

日暮れて賑わう 橋の上川面にきらめく 町灯り胸にしまった あの人の面影浮かべる 水鏡行く人 来る人 戻る人行き合い橋は 別れ橋幸せそれとも 不幸せこの世の流れの

夕顔の坂 – 山口瑠美

淋(さみ)しいですかと 聞かれたら泣いてしまいそうふたりどんなに 隠しても噂になります いつの日か…咲いてひと夏 日暮れ花お別れします 今日かぎりにじむ涙の う

想い出酒場 – 山口瑠美

窓辺に揺れる 折り鶴さえも変わらぬままの 想い出酒場どうしていますか あなた 幸せですかひとり止まり木 瞳(め)を閉じてさがす面影 お酒が沁みる涙で聞いた 別れ

おんなの花 – 山口瑠美

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さくら草 – 山口瑠美

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みかんの木陰 – 山口瑠美

瀬戸の夕凪ぎ 尾を引く船は遠いあの日へ 帰る船不憫な思いは させまいと働きとおした あなたの背中苦労の枝に 実をむすぶ香る蜜柑は 母の愛無事な暮らしを 見守るよ

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お酒の歌 – 山口瑠美

友と飲む酒 辛い酒気取らぬ中なら なおのことお猪口がいつか コップ酒色々あって 今日もまた飲みましょう 飲みましょう今夜はお前と 二人酒父と飲む酒 苦い酒肝の話

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