山口瑠美

  • 私のままで – 山口瑠美

    もっとわがままに生きたならもっと幸せになるだろかそれともみんなに嫌われてもっとさみしくなるだろうか もっと慎ましく生きたならもっと好かれたりするだろかそれとも自分が辛くなりもっと悲しくなるだろうか ああ 何にも思わず何にも 迷わずにそのまま ただ生きていきたい道に花が咲きそして散るようにそのまま ただ私のままで 誰に憎まれることもなく自分のことも 憎まずに人から愛され 自分も愛して生きようなどと …

  • 名もなき花 – 山口瑠美

    もしも生まれ変わり あなたに会えるなら野に咲く一輪の 花になるでしょうやさしい風の中 思い出の歌うたう懐かしい香りが わたしをつつむ今はもう 戻れないいつか見た 夕映え今ならば わかるはず愛することの意味耳をすませば ほら あなたの呼ぶ声が聴こえてきます ありふれた日々には しあわせの欠片がそっと輝いてる 何も語らず忘れたい 忘れない手のひらの ぬくもり溢れだす 涙にはもう何も映らないありがとうの…

  • 至高の王将~三吉、小春の物語~2020年バージョン – 山口瑠美

    苦労升目は八十一の 命削った端切(はぎれ)板女房子供にゃすまないけれど 退くに退けない端歩(はしほ)突き将棋の鬼と世に謳われた 王将坂田三吉と女房小春の物語 千里飛び越す 飛車角も合いの歩一つで 手が詰まる胸突き八丁 棟割長屋明日のあてない 暮らしでもいつかとト金で 竜を斬る 「小春、生きとったんかあ!よかったよかった。ワイは心配で心配で‥‥」「あんた、わてがどないな気持ちで生き恥さらして帰ってき…

  • 天気雨 – 山口瑠美

    溜息つくと しあわせは逃げていくから 笑うのよやさしい母の 呼ぶ声が聞こえてきそうな 夕焼け空 誰もが胸いっぱいに 涙を抱え生きてるあぁ人はいじらしく 愛しいものですね サラサラ降り出す 天気雨喜び哀しみ 溶け合う街で私は私の しあわせ探す今日の日にサヨナラと ほほ笑みながら 不器用すぎる 娘だと泣いた私の 背を撫でて自分のことを もう少し許してごらんと 諭された日 今でも父の言葉が 心の中で生き…

  • この道 – 山口瑠美

    古い写真に 残された若いあなたと 小さな私無邪気に笑う その肩をそっと支える 大きな手 花を手折れば 花の名を空が陰れば 雲の名を涙ながせば そのわけを優しく聞いて くれた人 母が小さな 手を引いて歩いた 知らぬこの道にいつか 小さな 花が咲いたら今度は 私が その手を引いてあの日と同じ 陽だまりを二人で 歩こう 寂しがりやの 頑固者悪いとこだけ 似たようとうつむき 笑う 横顔が少し小さく 見えた…

  • 恋ひととせ – 山口瑠美

    叶えるだけが 恋でしょうか身を引くことは 愚かでしょうかあのひととせの 思い出抱いて五度目の春に ふと立ち止まるいいえ私は しあわせでした散りゆく桜が 教えていますあえかに咲いても 花は花叶わなくても 恋は恋 忘れてしまう ものでしょうか懐かしむ日が 来るのでしょうかあの夕立に 駆け出すふたりまぶしい日々に ただ目を閉じるいいえ私は しあわせでしたやさしい雨が 笑っていますひとひら欠けても 花は花…

  • お酒の歌 – 山口瑠美

    友と飲む酒 辛い酒気取らぬ中なら なおのことお猪口がいつか コップ酒色々あって 今日もまた飲みましょう 飲みましょう今夜はお前と 二人酒 父と飲む酒 苦い酒肝の話は しないけど黙って飲めば 伝わるのお前が良けりゃ それでいい飲みましょう 飲みましょう言葉が途切れて 親子酒 ワイングラスに注がれた最後のお酒を 味わって街の明かりが 潤んでいる今夜はきっと 帰らない飲みましょう 飲みましょう酔ったふり…

  • 紅殻情話 – 山口瑠美

    恋の柄杓(ひしゃく)で 散らした水に濡れる祗園の 石畳追って追われて 紅殻情話格子へだてた あなたの背中息をひそめて やり過ごす あわせ鏡の うなじに咲いた夢のなごりの 紅(あか)い花やがて悔しい 紅殻情話元の白地(しろじ)に 戻せるならば洗い流して 高瀬川 わざと小さく 縁どる口紅(べに)はあなた好みの 薄化粧五山(ござん)送り火 紅殻情話燃えて散りじり 蛍の恋は今夜限りの 命です 人気の新着歌…

  • みかんの木陰 – 山口瑠美

    瀬戸の夕凪ぎ 尾を引く船は遠いあの日へ 帰る船不憫な思いは させまいと働きとおした あなたの背中苦労の枝に 実をむすぶ香る蜜柑は 母の愛 無事な暮らしを 見守るように霞む島影 うるむ海元気でやるのよ それだけを何度もつぶやき 手をふる母の忘れはしない あの涙白い蜜柑の こぼれ花 今日という日を 薄紅色に染める夕陽の おだやかさ他人(ひと)をねたまず 疑わず小さな幸せ 分け合う姿笑顔の先に 実をむす…

  • 海蛍 – 山口瑠美

    暗い波間に 漂(ただよ)いながら誰をさがすか 海蛍砂に消え行く 波音が女の心を また泣かす…あなたにあなたに 愛されてると信じていたのは 私だけ涙ほろほろ 哀しみ抱いてひとりたたずむ 夜の海 恋にはぐれた 涙の色か青くきらめく 海蛍戻るあてさえ ない人を待つのは愚かな ことですか…二人に二人に 別れが来ると知らずにいたのは 私だけ潮風(かぜ)にゆらゆら 乱れる心少しあなたを 怨みます あなたにあな…

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