尾鷲義仁

酔っぱらって子守唄 – 尾鷲義仁

今日は宵の口からついてないんだ
子供を預けた先から人が来て 金寄こせってさ
風を引いたって 医者の掛りが大変だって
別に欲しくて 生んだ児じゃないけど
児は児なんだから 仕方がないさ
ねエあんた 一緒に飲んでよ
まだまだこれから先があるよね 私にも
子守唄で酔っぱらっちまって ざまぁないけど
あの児のことを思うのさ 思うと眠れないのさ

港町の夜にも幕が降りてさ
船乗り相手の酒場のランタンも酔たっているよ
出船入船のドラも霧笛も聴こえちゃ来ない
みんなお仕舞い 誰も舞台にゃいない
無事に一日が終わったみたい
ねエあんた 一緒に飲んでよ
コチトラ何にもケリもケジメも つかなくて
子守唄で酔っぱらっちまって ざまぁないけど
あの児のことを思うのさ 思うと眠れないのさ

いくら時間かけても若くなれない
どんなに着飾り香水降りかけてみたって駄目って
そんな残酷な季節がいやでもそのうち来るわ
時の移ろい誰れも止められないし
愛も頼りにはなりッこないし
ねエあんた いっしょに飲んでよ
掌(て)の中からっぽ頼る男もいないしさ
子守唄で酔っぱらっちまって ざまぁないけど
あの児のことを思うのさ 思うと眠れないのさ

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