尾鷲義仁

般若(おに)の恋 – 尾鷲義仁

あなたを喰べて しまいたい
恋しさあまれば 憎さがつのる
ちがう女と 夢ん中
手に手を取って 逃げるなら

心が般若に 涙が滝に
身体の中が 火柱に
それでも わたしを 捨てるなら
いっそ殺して あげようか

あなたの背中に 釘をうつ
ひとりでどこかへ 行かないように
白い蝶々を 追いかけて
桜の下で 眠るなら

地獄の底へ 三途の川へ
爪の先まで 道づれに
それでも 帰って こないなら
いっそ殺して あげようか

心が般若に 涙が滝に
身体の中が 火柱に
それでも わたしを 捨てるなら
いっそ殺して あげようか

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母さんの秋 – 尾鷲義仁

俺らが大きく なったのか母が小さく なったのか稲穂の中で 手を振る母の野良着姿が 見えかくれご無沙汰ごめん 母さん母さんの秋今夜は蕎麦でも 打とうかと少し弾んだ

想愁歌 – 尾鷲義仁

悲しみの胸に 白い雪が降る花が咲く 春来ても こころ冬の海あなたの呼ぶ声だけが 耳から離れない涙で別れても あなたが 私のいのち逢いたいと想う こころ叱っても手

酔っぱらって子守唄 – 尾鷲義仁

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一夜に一夜 – 尾鷲義仁

優しさに甘えるわけには 行かないと春さえ待てずに 去ったひと見送る駅の夕まぐれあ…素顔に涙 舞い散る小雪行き先も教えず ポツリとそっぽ向き便りをするわと いった

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なさけ川 – 尾鷲義仁

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語り酒 – 尾鷲義仁

好いて好んで 裏道を歩き通した わけじゃない運がないのか 陽に背を向けていつしか日陰で 咲いていた酒よ おまえも わかるだろ今夜は おまえと 語り酒胸を裂かれる

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