尾鷲義仁

一夜に一夜 – 尾鷲義仁

優しさに甘えるわけには 行かないと
春さえ待てずに 去ったひと
見送る駅の夕まぐれ
あ…素顔に涙 舞い散る小雪

行き先も教えず ポツリとそっぽ向き
便りをするわと いったひと
悲しい嘘で幕をひき
あ…汽笛が責める 大馬鹿もんと

お土産をきれいに 包んで下さいと
こけしを一本買ったひと
どなたが待って いるのやら
あ…宿命はとけず 悩みは消えず

ゆきずりの恋ゆえ 時折り不安気に
いけないことねと いったひと
別れが来ると知りながら
あ…一夜に一夜 重ねた二人
あ…一夜に一夜 重ねた二人

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母さんの秋 – 尾鷲義仁

俺らが大きく なったのか母が小さく なったのか稲穂の中で 手を振る母の野良着姿が 見えかくれご無沙汰ごめん 母さん母さんの秋今夜は蕎麦でも 打とうかと少し弾んだ

想愁歌 – 尾鷲義仁

悲しみの胸に 白い雪が降る花が咲く 春来ても こころ冬の海あなたの呼ぶ声だけが 耳から離れない涙で別れても あなたが 私のいのち逢いたいと想う こころ叱っても手

般若(おに)の恋 – 尾鷲義仁

あなたを喰べて しまいたい恋しさあまれば 憎さがつのるちがう女と 夢ん中手に手を取って 逃げるなら心が般若に 涙が滝に身体の中が 火柱にそれでも わたしを 捨て

酔っぱらって子守唄 – 尾鷲義仁

今日は宵の口からついてないんだ子供を預けた先から人が来て 金寄こせってさ風を引いたって 医者の掛りが大変だって別に欲しくて 生んだ児じゃないけど児は児なんだから

一人で泣かないで – 尾鷲義仁

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なさけ川 – 尾鷲義仁

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語り酒 – 尾鷲義仁

好いて好んで 裏道を歩き通した わけじゃない運がないのか 陽に背を向けていつしか日陰で 咲いていた酒よ おまえも わかるだろ今夜は おまえと 語り酒胸を裂かれる

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