少女病

黒紫のオーンブレ – 少女病

「—-葬列。並ぶ者の居ない、闃寂の空間。参列者は、たった独り。
孤独な少女は回想する。共に過ごした美しい思い出の、その全てを。
彼女は笑いながら呪う。忌まわしい世界に向けた、底なしの悪意。
……少女の纏う、黒紫の影がざわめきだした—-」

響き渡る
それは欷歔の声
吹き晒す風に乗せ
猶も届きはしない

身に纏う
無数の「声」が
黒紫の装束となって
信じるべきものを告げている

何を愛し
何を呪う
何を許し
何を憎む

全てその内に

沈む影の中に幾重に
渦巻かせる呪いと愛だけ
けして満たされぬその姿
未だ不完全な魔女(riflydia)

その声は空虚なほどに
歪にして気高き覚悟を
無貌無尽–“己”は誰かいつか喪う定めでも

その無数の命もて
その無限の命もて
天の巡るまで

許しを乞い続ける声
この影の中で けして解放たれること無く

犯した罪を嘆く声
この影の中で 永久にその罪 贖い続けよ

その運命に涙する声
この影の中で その涙を祈りとするがいい

終わらぬ生獄(いのち)呪う声
この影の中で 私の一部となって生きよと

共に産まれ されど倦まれ
戯れに選ばれたのは
下らぬ神の悪戯で終わらせない

そう、誓う–。

その罪人(いのち)も
その咎人(いのち)も
その凶人(いのち)も
その禍人(いのち)も

そう 全て愛しき片割(リフル)の為にと 嗚呼。

愚直なまでにただ一心に
愛深きが故に貪欲に
けして満たされぬその景色
未だ未完成な理想郷(utopia)

ならけして滅びぬようにと
その罪咎凶禍(いのち)をこの身に束ねて
無暁無届–“己”は誰かいつか喪う覚悟でも

その無数の命もて
その無限の命もて
天の巡るまで

しかるに分かたれた命
その思いに涙して
吼え猛る—-ああ!

「少女は膝をつく。けれど、その心は決して折れない。
それは、最も愛深きが故に、最も貪欲。後にそう伝えられる、
第四の魔女“リディア”の姿—-」

「いつか、彼女は帰ってくる—-決して潰えることなきその幻想を胸に。
少女は生きる。生きて、生き続ける。
—-いつまでも。世界が終焉するその時まで」

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