少女病

狂聲ドミナシオン – 少女病

「ようこそ、七人目の美しき少女。ふふっ。さ、踊りなさいな?」

「そして始まる。晩餐会。
幸せそうに、皆口々に魔女を称えながら。
けれど、みなどこか空ろな目をしていて。」

「(何なのこれは……胸がざわつく。こんな事が……許されていいの?)」

「心のどこかに巣くう弱音を噛み潰しながら、ミリリは立ち上がる。」

「論戦にも成り得ない拙い感情の吐露。興味深げに応じる魔女。」

「――それは、彼女の最後の抵抗。」

ねえ貴女 その両手がどれほどの血に塗れているのか
省みることはないの その蛮行(おこない)を
何を今更 魔女は嗤う
この手がどれほど穢れようとも
この美は欠片ほども損なわれないと

ねえ貴女 この娘(こ)達が貴女にどれほど傷つけられたか
何も言うことはないの その陵辱(おこない)に
何を愚かな 魔女は嗤う
その美が堕すのに比べるならば、
これらの幸せなど疑いようは無いと

神に見出された私の正義(ことば)の前には
お前の偽善(ことば)など児戯に等しいと知れ

負けるな 己を保て
この狂気の沙汰に飲み込まれなどしないと
歪みきった世界の主は ただ嗤うばかりで――

「拙い応酬の間にも、宴は続いていく。
冷笑。失笑。憐憫。侮蔑。猜疑。軽蔑。
少女たちからミリリへと向けられる、
ありとあらゆる負の感情を孕んだ視線」

「たまらずミリリは叫びかける。」

「どうして、ねぇ、どうして!
あなたたちも昔はこうじゃなかったはずなのに!
この魔女の言うことが……本当に正しいっていうの!?」

「悲痛なその声に応えるものは、誰一人として、いなかった。」

暗い闇の底を覗き込む
呆然として ただ立ち尽くす
私だけが道化のように滑稽な有様で
誰も手など差し伸べてはくれなかった
――だけど

……負けたくない 認めたくない
歪な幸せを 吐き戻そうと頑なに

けれど 紡ぐ言葉の全てが
力なく消えていく

朽ちた眼嵩は 何も語らず
宴の一席に据え置かれた亡骸
何のための罪の贖いか?
何も赦されはしない

錯綜するエゴの仮託
生きるのか 朽ちるべきか
正しいのは私だ とも もはや信じることさえ出来なくなって ah…

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