少女病

十三月の不確定なドール – 少女病

華美で豪奢な塔(tour) 荘厳な支配(domination)
囲われるは美しい少年達
散見される不幸な少女も 男装強いられ

暴虐の魔女が夜な夜な繰り広げるのは
永久に解放されない悪夢(cauchemar)

踊りましょう? 絶望の声を従えて
歌いましょう? 消えゆく心音に乗せて

(無様に踊れ 死ぬまで
滑稽に謡え 沈め)

滅びましょう? 己の全てを失って
受け入れれば飽きるまで可愛がってあげる――――

(我に弓ひけ 求めよ 真の自由を…)

「美しくないものはみんな死んだらいいのに……。
美しいものはいつか私の手で壊してあげよう、ね?」

心を手折られて 人が屈服する様
それがとても“美しい”と嘲笑った
どんなに凛と咲き誇る花も いつかは枯れゆく

彼らが大切に想う家族や恋人
邪魔で不要な命を奪った

絆狩りの忌み名を掲げる負の儀式(rituel)
その洗礼を浴びて集いし兄弟達(freres)

(さあ思い出せ その身に
託されたah… 遺志を)

首輪をつけ 心項垂れたコレクション
決して消えぬ 痛ましい烙印を背負って――――

(先に潰えた仲間の 声に応えよ)

「髪まで切られて、名前を名乗る自由さえ奪われて。
私がどこにもいなくなるみたい…」

「ここで屈服したらヤツの思惑通りになるんだ。
みんなで耐えて、生きよう。そうすればいつか……」

「生きたって、私達に帰る場所なんてないじゃない!」

ah…次々と落命する仲間達(freres)
懸命に支えあった 悲劇の人形(doll)

踊りましょう? 絶望の声を従えて
歌いましょう? 消えゆく心音に乗せて
摘み取りましょう? 幽かに残る澄んだ芽を
血に染まった渇望を今奏でて…

可愛いよ 凛々しいよ だから穢してあげる
苦しいの? 悲しいの? ならば壊してあげよう
ねぇ、生まれてきたことを後悔しているの?
簡単には終わらせない 可愛がってあげる――――

(はじめよう 真の悲劇を…)

「不死なる永劫の日々に飽いてしまった暴虐の魔女、アイリーン。
彼女が今最も夢中になっている遊戯。
それは、見目麗しい少年達を囲い、身も心も屈服させること。
人の悲しむ顔が一番美しいと感じる彼女は、彼らにとっての大切な者達を
殺してから少年達をコレクションに加えていて……」

「簡単には折れない。これが宿命だなんて認めはしない。だから……」

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