小田純平

  • 白蓮のかほり – 小田純平

    白蓮は手折(たお)れぬ花なぜにまだ甘く匂う水にふるえながら罪を打ちあける愛しました 愛しましたなにもかも夢でした愛しました 愛しました裏切りに身もだえて月あかりに身を投げて夜に散る 白蓮 首すじにかけた指をあなたなぜためらうの過去にふるえながら心壊れても愛しました 愛しましたなにもかも夢でした愛しました 愛しましたこの命溶けるまで月明かりに縛(しば)られて散り急ぐ白蓮 愛しました 愛しましたなにも…

  • ぶって叩いて香水つけて – 小田純平

    ぶって叩いて 香水つけて愛して欲しいと 焦がれ泣く ネオン路地裏 雨の野良おまえも独りで 淋しいかあたしも世間に 爪を立てそれでも愛に 焦がれ泣くぶって叩いて 香水つけて愛して欲しいと 焦がれ泣く 女独り寝 寒い部屋男に懐(なつ)けば 捨てられて裏切り数えて 眠っても今夜も愛の 夢を見るぶって叩いて 香水つけて愛して欲しいと 夢を見る 夜明け口笛 誰が吹く淋しい恋歌 誰が吹くあたしの心も 同じよな…

  • 65~たられば捨てて~ – 小田純平

    あの日 伝えていたらあの時 言っていれば何か変わっていただろうか「呟(つぶや)き」肴(さかな)に酒を飲む 時代のせいだとか誰かのせいだとか未来の夢を語っていたのにある日 過去を語り出す たられば捨てて振り返ればその時 その時 自分なりに力の限り生きたじゃないかこれからも 自分なりに自分なりに あの日 始めていたらあの時 止めていれば何か変わっていただろうか「溜息(ためいき)」肴(さかな)に酒を飲む…

  • 花染められて – 小田純平

    十九・二十歳(はたち)の あの頃はお色気なしだと 笑われたあんたに出会った あの日からあたしは恋おんなおくれ髪の 先の先まで花染められて 染められて今じゃ七色 夢は日替わり今夜も蝶々に 抱かれて咲くの 路地の灯りに つまずいてよろけたはずみの 他人酒毒消し代わりの 母の顔苦虫噛んでるわ何も言わず 涙拭いてね花染められて 染められて感謝してます だけどごめんねあたしはあんたの 玩具(おもちゃ)じゃな…

  • 逢生川 – 小田純平

    あきらめましたは嘘でした忘れて欲しいも嘘でした惚れぬきましたも嘘でした信じないでね わたしのことはあ… 百に一つの真実を呑んで流れる 呑んで流れる 逢生川よ 誰にも言えない恋でした誰にも言えずに 酒がたりゆきつくところは 酒の海身体(からだ)いじめて 心を守るあ… 未練なんかはないけれどこの世は皮肉ね この世は皮肉ね 逢生川よ 逢うため生まれてきたものを逢えずに流れる ネオン川逢いたい心に 酒をつ…

  • もうやめた – 小田純平

    あなたの真似して珈琲は砂糖入れず飲んでいた慣れって不思議なものね気付けば飲めるようになっていた でも もうやめた もうやめたブラックコーヒーもうやめたあなたがいなくなったからもう もうやめた あなたの真似して水割りロックに変え飲んでいた慣れって不思議なものね気付けば飲めるようになっていた でも もうやめた もうやめたロックで飲むのはもうやめたあなたがいなくなったからもう もうやめた あなたの好みを…

  • 秋の夜長の数え唄 – 小田純平

    ひとつ ひと目で 惚れたのにふたつ 振られて 迷い道みっつ 未練に 目覚める鬼があなた 恋しと ぐずる夜はよっつ 酔わせて 寝かせましょうか 酔えば 涙の 雨が降る見上げた 空の お月さん明日 天気に しておくれ いつつ いつまで 待ったってむっつ 無駄だと 知りながらななつ 並べた 思い出まくら抱いて さすって 泣くよりもやっつ やっぱり ほかしましょうか 秋風(かぜ)に 火照りを 冷まされて涙…

  • 華の刻 – 小田純平

    町から町へと旅烏当てになるのは技一つ浮世の波に流されぬ頼りになるのは芸一つ 汗も苦労も古傷も拍手の音で消えてゆくとうに忘れた青春もライトを浴びて甦る(よみがえる 幕が上がり切っ掛けを待つ初夜か逢瀬か果し合い 舞台(ここ)に生きて生かされて咲いて咲かされ 歌い続けるあなたが あなたがいる限り華として 生きましょう お客が席に座る頃鏡の我が目と見つめ合い芝居の役の別人に鍛えた我が身を引き渡す 一刻半(…

  • 恋うつつ – 小田純平

    逢えない 夜は 鵺(ぬえ)が啼(な)く心 引き裂く 闇に啼くあなたの色に 染まった肌が紅の色さえ 変えさせぬ 春情(じょう)でしょか 因果(えん)でしょか恋する女の 心の中(うち)は夜叉か 菩薩か 菩薩か 夜叉かあゝ 愛は うたかた 恋うつつ 眠れぬ 夜は 鵺が飛ぶ倫(みち)に 背(そむ)けと そそのかすおとなの女 演じることでつなぎ止めてる 憎い男(ひと) 愛でしょか 意地でしょかあなたの来る日…

  • 約束 – 小田純平

    大きな夢とギターを背負い上り列車に飛び乗ったおにぎりに添えられた手紙涙で滲んで読めなかった 都会の波にしがみ付き笑顔に騙され裏切られなんとかここまで来れたのは支えになってた優しい笑顔 なにくそ根性で来た気でいたけど本当は愛され守られていたかあちゃんそこから聴こえるかい声の限りに歌い続けるよあの日の「約束」守り続けるよ ブラウン管に映る大都会変えてみせると心に決めた町を出る朝も居間を避け何(なん)に…

Back to top button