飲むしょ朝まで – 小橋亜樹

私は幼い頃に父親を亡くし、
母親が女手一つで育ててくれました。
だけど、私には素敵な、素敵な仲間がいます。
そんな仲間と酒さえ飲んでいれば、
私は、私は、幸せなんです。

夢から覚めたら例の店
女同士の愚痴の酒
あんな男は　忘れちまいな
なないろ納豆　食べながら

ちきしょう！

嗚呼　しそ焼酎
同じのあと二つ

ちょっと、あんた、今日仕事終わったら
ちらっと行かないかい？　ちらっと。
な～も、あんた、ちらっとたって、いつも料理長出てきて
「帰ってくださ～い」って言われるまでいるしょや。
そうだ。
あ、いや、したら家で飲めばいいしょ。
して、泊まっていきな。
いや、したけど、泊まる準備してきてないもん。
な～も、あんた、泊まる準備って
いつもパンツもはかないで寝てるべさ。
いや、あんた見たの？
見たのって、あんたが全部出して寝てんだわ。
いや～、そしたら泊まってっていいの？
いいよ～

昼まで寝てから例の店
3人寄れば真昼酒
風呂に入って垢すり　スーリスリー
月見つくね食べながら

ちきしょう！

嗚呼　珈琲焼酎
綺麗になってやる

ちょっとあんた、仮免受かったわ。
あら～、いかったね。正直あんた運転無理だと思ったもん。
だって、こうやって言ってたしょや。
「あんたハンドルって何時何分で持つか知ってっかい？」
っていうからさ、
「そんなの10時10分だべさ」って言ったら、
「馬鹿だね、あんたそれ古いんだよ。今なんか9時45分なんだよ～」って。
いや、それ言うなら9時15分だべさってね。
9時45分なら、手こうやってくっついちゃって、
げんこつ山のたぬきさんみたいなっちゃうっての。
い、いや～。したら、お祝いに飲むかい。
明日から路上だけどいいの？
いいよ～

恋にこりたら　旅に出て
女同士の定山渓
お人よしだよ　馬鹿だねあんた
夜空見上げ　泣きながら

ちきしょう！

嗚呼　こぶ焼酎
気づけば笑ってる

ちょっと、なんなのさあの男たち。
なーしたのさ。
今、すれ違った男たちさ。
あー、あの5人組。
なに？いやらしい目で見てたの？　女3人浴衣で歩いてたから？
いや～、こわいね、ちょっと。
いや、ちがうんだ。聞こえなかったの？あんた方
なに？なんていわれたの？
なまら0点って。
まぁ、すっぴんだからね。そうだ、風呂上がりだもね？
なーにさ、あんた、あっちの方がよっぽど0点だべさ、5人もいて。
そうだ、ウチら3人で0点だからね。
したら、ウチらの勝ちでない？
そうだよ。
したら、ウチらの勝利に乾杯する？
明日、胃カメラだけどいいの？
いいよ～

嗚呼　しそ焼酎
同じのあと二つ

朝には忘れてる